2000 Fiscal Year Annual Research Report
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10672249
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
内布 敦子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (20232861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 さつき 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (60326311)
滋野 みゆき 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (70305697)
荒尾 晴惠 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (50326302)
山本 真澄 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (80305698)
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Keywords | 症状緩和 / がん / セルフケア能力 / 吐き気 / 化学療法 / 癌性疼痛 |
Research Abstract |
本年度は、セルケア能力の向上がある程度期待できる対象群に焦点を当てて事例を展開し、がん患者の症状緩和にLarsonが開発した統合的アプローチモデル(IASM)の効果を検証した。まず昨年に引き続きガイドブックの精錬を行い、臨床への普及を意識して、はじめて使用する看護婦のために記録用紙も記入例を入れたものを作成した。5例のうち4例で完全なデータが収集できた。事例1は、元来自己決定能力も高くセルフケア能力の向上によって癌性疼痛の緩和を期待したが医師患者関係について強い先入観があり、痛みを表現することができるようになるにとどまった。事例2は、化学療法に伴う吐き気の緩和を行った。基本的な知識や技術を提供すると受け入れたが自主的に行っていくことは難しく受動的であった。事例3は、前立腺癌による骨転移の痛みであったがアプローチによって痛みの表現能力が著しく向上し薬剤の処方が適切に行えたので症状緩和を劇的に図ることができた。さらに意欲を持って退院することができた。事例5は、肝臓癌による腹痛であったが痛みの緩和技術に関する知識や技術の提供に強く反応しセルフケア能力が向上しQOLの改善をみることができた。事例4は、舌癌の末期であったにもかかわらず、セルフケア能力は向上し看護婦を活用してマネジメントを行うに至った。 いずれもセルフケア能力に関しては改善することができたが、事例1、2については改善の程度はわずかで、患者自身が自分で行うことに強い興味を示してこなかったのでセルフケアの能力のレベルを判断して看護婦が不足するケアを代償した。このような事例は昨年度、超ターミナル期にある患者に焦点を当てたときに多く見られたが、今回超ターミナルでなくても患者が元来の健康や医療に対して消極的である事例では類似した現象が見られた。セルフケア能力が飛躍的に向上した残りの2例は共に壮年期の男性で患者の反応を注意深くとらえながら、呼応するように知識や技術を提供することができ、大きな成果を上げた。 モデルにそって分析し、患者に必要な知識、技術、サポートを個別に提供すると症状、QOLの改善を導くことができることが明らかになった。またどのような事例でもセルフケア能力の改善に関しては効果をみることができた。使用した看護婦からの意見では介入の内容やレベルを決めるのに根拠を持つことができるなど肯定的な評価を得ることができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 内布敦子 他: "癌患者の症状緩和技術に関する研究"1999年度科学研究費補助金〔基盤研究C(2)〕研究成果報告書〕. (添付). (2000)
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[Publications] 内布敦子 他: "The Integrated Approach to Symptom Management看護活動ガイドブック改定版ver.2001"1-8 (2000)
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[Publications] 内布敦子 他: "癌患者の症状緩和技術に関する研究"2000年度 科学研究費補助金〔基盤研究C(2)〕研究成果報告書〕. (現在編集中).
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[Publications] 内布敦子: "特集症状体験をきく-患者のパワーを引き出すために患者の症状体験とは-看護への生かし方"Nursing Today. 15(5). 20-21 (2000)
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[Publications] 内布敦子: "患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を高める技術看護のコツと落とした穴7がん看護・ターミナルケア"中山書店. 2 (2000)