2000 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人のQOLを高めるケア技術の確立とその効果測定方法の検討
Project/Area Number |
10672251
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Research Institution | COLLEGE OF NURSING ART & SCIENCE, HYOGO |
Principal Investigator |
水谷 信子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (20167662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 祐美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (20316053)
山地 佳代 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (80285345)
竹崎 久美子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (60197283)
梅垣 順子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (20290439)
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Keywords | 痴呆性老人 / QOL(quality of life) / ケア過程 / ケア結果 / タイムスタディ / 施設内看護 / ケア指標 / ケア評価 |
Research Abstract |
痴呆性老人へのケアの効果を測定する方法の検討に向けて、痴呆性老人のケアの過程と結果の関連性を明らかにするため、先行研究で得られた関わり項目と変化項目を同時に尋ねる質問紙調査を看護職に対し行った。有効回答315部の集計およびχ^2検定を行った結果、痴呆性老人のQOLを高めるケアとして実際行われていると予測された6つの「ケア過程項目」と、QOLを高めるケアと関連する痴呆性老人にあらわれるケアの結果であると予測された10の「ケア結果項目」が特定された。 これらの項目を痴呆性老人のケア効果測定スケールとして開発していくために、ケア過程項目、ケア結果項目が対象者の日常生活場面においてどの程度発生し、同時にそれは第三者の観察によるデータ収集が可能かどうかを検証する必要性から、パイロットスタディを行った。倫理的な配慮を踏まえた上で、入院・入所中の痴呆性老人4事例を対象に、対象者自身や身の回りで起こっている現象について日中8時間を7日間、研究者が直接観察を行いケア過程項目とケア結果項目を評価した。調査の過程で、項目内容の客観的な観察可能性や統一性、調査者間の信頼性、タイムスタディの適切性等が検討された。得られたデータについて項目チェック数の集計をした結果、ケア過程では痴呆性老人個人に対して良いケアの指標となりうる項目があること、複数のケア過程項目を同時に行うことの効果、施設間でのケアの質の比較に利用できる可能性が示唆された。またケア結果では、第三者評価でとらえられるケア結果の頻度や、ケア過程との対比の中で個人が入院・入所当初からその後どう変化するかを比較できる可能性が検討されたが、対象者にあらわれるケア結果の個人差やケア以外の影響による変化との区別が困難であり、検討の余地が残った。 今後事例を増やし検討を重ねることで、第三者評価による痴呆性老人のケア効果測定方法の実用化が目指される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 山地佳代,竹崎久美子,塩塚優子,井藤由香里,多田祐美,水谷信子: "ケア効果としての痴呆性老人の変化の構造-痴呆棟で働く看護職への質問紙調査を通して-"老年看護学. 5・1. 107-114 (2000)