1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10672253
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
岩井 郁子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (30095947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊増 佳子 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (60276657)
佐藤 紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (80269430)
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Keywords | 診療情報の提供 / 診療記録・看護記録開示 / 看護記録モデル開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は診療情報の積極的提供とその一環としての診療記録開示の目的にかなう看護記録モデルを開発することである。患者は看護記録という限定された開示への期待ではなく、病気や治療に関する情報を求め、積極的情報提供への期待VS慎重な対応、また、看護・看護記録に対する認識が薄い事実が明らかになった。有識者は、詳細な経過記録、論理的な思考過程も含めた記録、患者を中心とした統合診療記録と立場によって異なっていた。看護職者は現状の記録の課題を数多く指摘し、ICの目的にかなう記録という認識より開示に耐える看護記録ガイドラインを求めていた。また、日本看護協会の看護業務基準(1995)に関する看護職者の認識は欠如し、この基準と記録との統合が課題となった。モデルの基本は(1)記録構成要素の標準化(2)看護実践の質向上に貢献(3)国民/患者のニーズに対応(4)IC/患者の自己決定に貢献(5)患者の権利・倫理規範に基づく実践および開示の認識を促すものとする。モデル案はこれらの基本を踏まえ、「看護記録とは、系統的アプローチに基づく個別的な看護実践の一連の記録である。この記録は看護職者の思考と行為を示すものでもある」と定義し、看護職の責務を明確に位置づけ、看護実践の行動指針および実践評価の枠組を基盤に、さらに新看護/医療監視等の要件をもみたすものとする。モデルの構成要素は、記録のポリシー、情報提供・開示の意義/目的、看護実践における責務、倫理、看護記録の概念、標準的な記録の構成要素とその内容からなる試案を作成した。この試案は(1)健康状態や生活環境の査定(基礎情報)(2)ケアの計画(患者の問題を含む)(3)経過記録(実行と評価の記録、医療行為(保助看法第37条)とその結果・反応の記載を含める)を基本とした。この試案に基づく分析結果、系統的アプローチとしての記載内容の質とその一貫性、妥当性に多くの問題が明確になった。また、事例分析の必要性、プライバシー保護の問題、ICに関する患者の行動変容・教育システムの開発なども課題となった。
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