1998 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツ・スポーツ史における運動、訓練及び達成をめぐる術語学的基礎研究
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10680030
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山本 徳郎 岩手大学, 教育学部, 教授 (40142327)
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Keywords | グーツムーツ / ヤーン / 平行棒論争 |
Research Abstract |
本研究は、ドイツにおいては身体活動の出来ばえの評価の表現が1800年前後で大きく変わることを実証したアイヒベルクの研究(この論文の試訳を前回〔課題番号07680118〕の報告書の末尾に示した)に触発され、始められた.従ってドイツ・スポーツ史の中でも、特に18世紀から19世紀への移行期への比重が大きくなる傾向はあるが、今年度は19世紀半ばすぎまでの文献に注目するよう努めた。 この期のドイツ・スポーツ史関係の文献は日本でもかなり収集され、すでにわかっていたものやインターネットの調査によって筑波大学、日本体育大学、立命館大学、奈良女子大学、奈良教育大学、広島大学、高知女子大学、長崎大学等にドイツの教育、体育、スポーツにかかわる大型コレクションや、研究者の一人的蔵書のかたちで所蔵されていることを確認し、現地調査を重ねた。今年度の作業は、主として資料文献の調査・整理を行い、可能な資料の収集(コピー)と、解読をすすめた。収集された資料のコンピュータ入力も始めた。 これまで進めてきた研究から次のような仮説を考えている。ドイツ・スポーツ史では、ブレスラウ・トゥルネン論争、平行棒論争、トゥルネン-スポーツ論争、ノイエンドルフ-ガウルホファー論争、東ドイツの理論闘争等、いわゆる体育やスポーツをめぐる理論論争と言えるものが繰り返されてきているが、その根源は「身体の教育」を提唱したグーツムーツ(Gymnastik)と、「運動の教育」を考えたヤーン(Turnen)の立場に違いにあったのではないかということである。双方の用いる術語の分析を通して明らかにしたい。なお成果の一端を、日本の場合も加味して、7月にブタペストで行われる国際体育スポーツ史学会で発表する予定である。
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