1998 Fiscal Year Annual Research Report
運動はなぜストレスを解消させるのか?-脳波によるメカニズムの検討-
Project/Area Number |
10680036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90106047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 篤司 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (90195975)
徳永 幹雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90038464)
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Keywords | 快適自己ペース / ポジティブな感情 / 脳波 / メカニズム |
Research Abstract |
運動によるメンタルヘルス向上やストレス解消に関する研究では、どのような運動強度を設定するかが一つの焦点となっている。しかし、個々人にとっての最大の心理的効果をもたらす運動強度を設定することは極めて難しい。そこで、我々はCsikszentmihalyiの最適刺激理論と、覚醒とパフォーマンス間における逆U字仮説に基づき、快適自己ペースComfortable Self-Established Pace(CSEP)という主観的運動強度を考案した。本研究ではCSEPが運動中のポジティブな感情(快感情、リラックス感、満足感)を引き出す最適運動強度であるかどうかを検討するとともに、ポジティブな感情の変化と脳波との関係を調べることを目的とした。 16名の男子大学生を対象に、トレッドミル上を3つの異なった運動条件(-10%-CSEP、CSEP、+10%-CSEP)で15分間走行させ、本研究で作成した快スケール(Comfortable FeelingScale:CFS)を運動開始6分、10分、14分(運動終了直前)の3回測定した。その結果、すべての運動条件で、運動中および運動終了直前にCFS得点(快感情)の増加がみられた。しかし、CSEPでの運動で最も高い快得点が得られ、快スケール得点と運動強度間に逆U字関係がみられた。このことによって、CSEPが運動中・後にポジティブな感情を得るための最適刺激である可能性を示唆された。 また、パイロットスタディとして、脳波の測定の方法を検討することと、感情の変化と脳波との関係を調べることを目的として、3名の被験者に、運動前、運動終了直後、そして回復期90分まで15分間隔で、合計8回、1分間づつ脳波を測定した。脳波は運動に伴う発汗やノイズが入ることから、トレッドミルでの運動中の脳波は測定できないことや脳波測定のタイミングなどが分かった。感情の変化と脳波との関係では、α波は運動終了直後より、回復期に増加することが分かり、リラックス感の変化と対応する傾向がみられた。
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