肥満高血圧の減量による降圧機序と栄養・運動因子-特にインスリン抵抗性と血清レプチン濃度-

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10680158
• Research Institution: Nakamura Gakuen University
• Principal Investigator: 伊藤 和枝 中村学園大学, 家政学部, 教授 (80104983)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 田中 美鈴 中村学園大学, 家政学部, 助手 (00301680) ; 増田 隆 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 講師 (60211562) ; 中村 元臣 中村学園大学, 大学院, 客員教授 (60037322) ; 古賀 里利子 中村学園大学, 家政学部, 副手 (30322605)
• Keywords: 血圧 / 肥満 / 血清レプチン / インスリン抵抗性 / 内臓脂肪 / ノルエピネフリン / 閉経 / ヒト

Research Abstract

【目的】肥満是正に伴う降圧には、インスリンと関連の強い肥満Ob遺伝子血清レプチン濃度(Leptin)が肥満高血圧者の血圧に影響を及ぼす可能性を報告した。レプチンは胎盤からも産生されることから、減量による降圧に閉経の影響があるか否かについて検討した。
【対象と方法】対象は年齢45.6歳の女性106名(BMI:29.5kg/m^2)である。栄養・運動による減量指導を3カ月間行い、開始時(0M)、3カ月(3M)後に日本コーリンBP8800を用いて血圧を測定し、早朝空腹時に安静臥床30分後の採血を行った。0M、3MにMRIにより腹部脂肪を測定し、75gOGTTならびに24時間蓄尿(24hU)を行った。肥満クリニック0Mに閉経を迎えていない者を閉経前群(Pre群77名)、閉経後1年以上経過した者を閉経後群(Post群27名)として2群に分けた。
【結果】(1)減量前(0M)の年齢、内臓脂肪、SBP、DBPはPre群に比しPost群で有意に高かった。体重、腹部脂肪、ΣIRI、HOMA指数、PRA、24hUノルエピネフリン(NE)は群間に差を認めなかった。(2)3Mで体重は3.2kg、Fat-massは2.2kg減少し、減少率に群間の差を認めなかった。SBP・DBPは両群ともに有意に低下した。しかし、高血圧者の割合は0Mでは両群ともに33%であったが、3MではPre群では18%と減少したが、Post群の高血圧者の割合は変わらなかった。ΣIRI、HOMA指数、PRAはともに有意に低下した。(4)ΣIRI(3M/0M)と内臓脂肪(3M/0M)は正相関を示した。Pre群のSBP・DBP変化率(3M/0M)とΣIRI、内臓脂肪(3M/0M)の間に正相関を認めたが、Post群ではこれらの関係は見られず、0MのLeptinとの間にr=0.442,r=0.368の正相関を認めた。(5)重回帰分析でも、Pre群ではSRP・DBP変化率にΣIRI、内臓脂肪、24hU-NEが関与し、Post群ではSBP・DBP変化率に0MのLeptin濃度のみが正に回帰され、0M時のLeptin濃度が高い者では降圧し難いことが示唆された。Pre群では内臓脂肪が関与し、砂糖・脂肪との関連がみられた。
【結語】肥満に伴う降圧効果は閉経後群で認めがたく、閉経後群の降圧には初期時の血清Leptin濃度の関与が示唆された。

Research Products

• [Publications] K.Itoh,T.Masuda,M.Tanaka,M.Nakamura: "Relationship between changes in the serum leptin and blood pressure after weight loss."J.Hypertension. 18. S144 (2000)
• [Publications] K.Itoh,T.Masuda,M.Tanaka,M.Nakamura: "Effects of menopause on changes in the blood pressure during weight loss in obese females"Hypertension Research. 24;1. A15 (2001)