2001 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒のシンナー・覚せい剤等薬物乱用防止に関する心理・教育・社会・医学的研究
Project/Area Number |
10680289
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Research Institution | OBIRIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小宮山 要 桜美林大学, 文学部, 教授 (80255249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 信彦 文教大学, 人間科学部, 助教授 (00247181)
高野 陽 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (60083747)
難波 豊 桜美林大学, 資格・教職センター, 教授 (00221466)
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Keywords | 薬物乱用 / 覚せい剤 / 少年非行 / 健康教育 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたり、これまでの研究成果を総合的に分析検討し、以下のような薬物乱用防止教育に対する方策を見いだした。 1 日本の社会は,子ども達の喫煙に対して非常に寛容である。そのために煙草が薬物乱用のゲイトウエイ・ドラッグとして大きな影響力を持っている。そこで薬物乱用を防止するためには、喫煙防止の指導を単に非行防止の面からだけでなく、健康教育の面からその有害性、危険性、違法性について児童生徒はもとより、保護者に対しても徹底させる必要がある。特に煙草は店で売られているけれども、違法薬物に匹敵するような有害なドラッグであるという認識が必要である。 2 薬物乱甫の背景には様々な要因(社会的要因、家庭的要因、学校教育の要因、青年期の心理的要因等)がる。そこで対症療法的な指導ではなく、生徒の心の内面に迫る指導を適切に行わなければ根本的な解決には至らない。薬物乱用防止においては、学校に於ける教育とともに家庭や地域、及び関係機関との協力・連携が必要である。 3 薬物乱用防止教育に対しては、薬物に対する正しい知識(危険性、有害性、違法性)を児童生徒はもとより全教師が身につけることが緊急の課題である。 4 薬物乱用は学校生活の充実度と強い関係があることから、学校教育のあり方、生徒理解や生徒と教師との人間関係の適否等について検討する必要がある。 5 学校に於ける薬物乱用防止教育の枠組みとして(1)社会的スキルや発達段階に応じた薬物抵抗スキル教える。(2)対人関係能力、対人関係スキルを身につけさせる。(3)セルフエステームを維持する自己認知スキルを身につけさせる。(4)自分を表現できるコミニケーションスキルを身につけさせる。(5)ストレスに対する対処スキルを身につけさせる等の方法が重要であると考えられる。この他にもブレンストーミング、デベート、ケーススタディ、ロールプレイング等による生徒間の相互作用的な指導も不可欠である。
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[Publications] 小宮山要, 高野陽, 神田信彦, 難波豊: "中学・高校生の薬物乱用に対する教師の認識と薬物乱用予備軍の特徴"桜美林論集. 第28号. 89-104 (2001)
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[Publications] 小宮山要: "子どもの薬物乱用"小児科. 42. 1688-1693 (2001)