1999 Fiscal Year Annual Research Report
制御されたフラーレンプラズマによるフラーレン膜の堅牢化
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10680452
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
真瀬 寛 茨城大学, 工学部, 教授 (30007611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直幸 茨城大学, 工学部, 助教授 (80225979)
池畑 隆 茨城大学, 工学部, 教授 (00159641)
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Keywords | フラーレン / フラーレン・アルゴン混合磁化プラズマ / フラーレンイオン / 捕集電極バイアス実験 / イオンエネルギー制御 / フラーレン膜の堅牢化 / LD-TOFMS / フラグメンテーション |
Research Abstract |
電子サイクロトロン共鳴(ECR)アルゴンプラズマ中にフラーレンを昇華・導入することにより,ECR領域(約100cm^3)に亘り一様なフラーレンプラズマの定常維持に成功している.プローブ計測から,代表的なプラズマパラメータは,プラズマ電位怐~15V,電子温度~5eV,密度〜10^<11>cm^<-3>である.正電圧に比べ,負電圧を印加したフラーレン捕集電極の方にフラーレン堆積量が多いため,フラーレンプラズマ中ではフラーレン正イオンが多く存在している.プラズマ中の空間電位に対し,約200Vまで下げると,レーザー脱離・イオン化-飛行時間型質量分析器(LD-TOFMS)を用いた堆積膜の質量分析において,レーザー照射による脱離とフラグメンテーションが軽減されている.この結果は,直流放電型のフラーレンプラズマを用いた場合と同様であり,フラーレン正イオンの加速が,フラーレン膜の堅牢化に本質的な役割を果たしている.直流放電プラズマに比べて,捕集電極上における高温(>20eV)電子の密度を約10倍(>10^<10>cm^<-3>)まで増加させたので,フラーレンイオンの密度増加が期待できる.フラーレンイオンの検出を行っているが,TOF質量分析器の2次電子増倍管の出力が,ECR用静磁場のため減少してしまい顕著なスペクトラムが得られていない.磁気遮蔽や磁場補正を行いイオン検出を継続中である.最近は,ECR用静磁場とアルゴンを使用しなくともマイクロ波のみでフラーレン蒸気の放電に成功している. フラーレン堆積膜のラマン分析の結果,マイクロ波の正味電力が,約100W以下の場合に,大部分C_<60>から構成される結晶性の良いフラーレン膜が得られている.100Wを超えると,フラーレンフラグメント(ex.C_<26>,C_<46>)に対応する質量スペクトルが現れる.これらのフラグメントは,ECRアルゴンプラズマ中で発生している事が判明している.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 天ヶ谷健太郎,真瀬 寛 他: "ECR放電を用いたフラーレンプラズマ源の開発"第12回プラズマ材料科学シンポジウムアブストラフト集. 36 (1999)
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[Publications] 天ヶ谷健太郎,真瀬 寛 他: "ECR放電を用いたフラーレンプラズマの生成"プラズマ・核融合学会第16回年会予稿集. 188 (1999)