1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能統御に関わるDNA-PKの研究(PARPとの2重遺伝子破壊による解析)
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10680665
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺岡 弘文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30019137)
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Keywords | DNA依存症プロテインキナーゼ / ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ / ノックアウトマウス / DNA修復 / Kuタンパク質 / アポトーシス / DNA代謝 |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNA-PK(DNA依存性プロテインキナーゼ)が細胞の機能あるいは細胞の運命を全体として精妙に統御しているとの仮説を立証することにある。DNA-PKの、(i)活性発現にDNAを要求する、(Iii)少なくともDNA修復に関与、(III)自己免疫疾患における自己抗原、(iv)アポトーシスにおける“死の基質"、(v)酵母にホモローグがないという5つの特徴はPARP(ポリ(ADP-リポース)ポリメラーゼ)とも類似していることから、DNA-PKとPARPの関連、相互作用及び機能分担に焦点を当てた研究を開始した。両者は互いに修飾し合い、互いの機能を調節している可能性があり、事実、PARPはDNA-PKによるリン酸化を受け活性が抑制された。さらに、DNA-PKのDNA結合性調節成分であるKuタンパク質の代わりに、PARPが少なくともin vitroでは機能することを発見した。現在、PARPのドメイン構造に対応した組換えタンパク質を作製し、調節成分としての機能ドメインを探索している。 これまでの研究から、DNA-PKは生存に必須ではないが個体や細胞が健康あるいは健全に生きていくために必要な、DNAを介した多くの出来事の制御に関与しているものと想定している。また、PARPのノックアウトマウスにもさほど重大な障害は見られない。そこで、DNA-PKとPARPがお互いの機能を部分的に相補しているとの仮定の下、ダブルノックアウトマウスを作製し、個体レベルから分子レベルにかけた広範・精緻な探究によって、DNA-PKの生物学的機能を鮮明に浮上させる。現在、DNA-PK欠損のSCIDマウスとPARP欠損マウスからダブルノックアウトマウスを作製し(がんセンター・益谷博士との共同研究)、ダブルノックアウトマウス及びそれぞれの単一遺伝子ノックアウトマウス由来の胎仔細胞を株化し、DNA-PKとPARP間の相互作用に関する個体レベルから分子レベルにかけての広範な研究を展開中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nagaki,S.,et al.: "Non-histone chromosomal proteins HMG1 and 2 enhance ligation reaction of DNA double-strand breaks." Biochem.Biophys.Res.Commun.246. 137-141 (1998)
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[Publications] Yumoto,S.,et al.: "High mobility group proteins 1 and 2 can function as DNA-binding regulatory components for DNa-dependent.." J.Biochem.124. 519-527 (1998)
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[Publications] Teraoka,H.,et al.: "Differences in DMSO-induced G1 arrest and in apoptosis between Raji and Akata Burkitt's lymphoma cells." Cell Struct.Funct.23. 94 (1998)
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[Publications] Teraoka,H.,et al.: "DNA-dependent protein kinase modulates trans-activation of E2F." Cancer Detect.Prevent.22. S-61 (1998)