1999 Fiscal Year Annual Research Report
シマリス血清中の高HDL値はCETP欠損に由来する
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10680773
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大和田 一雄 山形大学, 医学部, 助教授 (60101010)
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Keywords | シマリス / HDL / CETP / CETP遺伝子 |
Research Abstract |
我々はシマリスの血清HDL値が著しく高値であることを見出しその成因について検討してきた。これまでに血中HDL値に影響を及ぼす諸因子のうち、LCAT活性、CETP活性、アポC2、アポC3、アポE、LPL、HTGL活性について測定し報告した。 ヒトにおいてはこれら因子のうち、CETPとHTGLの欠損はHDLを上昇させるが、シマリスにおいては両因子とも低値ながら活性を有した。(CETP活性:2.149±1.115nm/ml/min、HTGL活性:0.1392±0.056μm/ml/min)。また、CETP蛋白量は測定限界値以下であったことから、シマリス血清中の高HDL値はCETPの低活性によるものであることが強く示唆された。 しかしながら、低値ながらCETP活性が認められたことから、シマリスの高HDL値はこれら因子の欠損に由来するものではない可能性が明らかになった。この事は、CETPを発現させる遺伝子がシマリスにも存在する事を示唆するものであり、今年度は、既に明らかにされているヒトCETP遺伝子とシマリスのCETP遺伝子との相違について検討した。 Brownら(Nature,342,448-451,1989)の報告に従い、ゲノムDNAを抽出後、PCR反応により増幅し、HIguchiら(Nature,332,543-545,1988)の方法によりシーケンシングを行ったが、シマリスの組織を出発材料とした場合は増幅が認められなかった。この事は、ヒトとシマリスではCETP遺伝子の塩基配列が異なることを示すものであり、現在シマリスのCETP遺伝子をクローニングする作業を進めている。
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