1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680794
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 宗平 和歌山県立医科大学, 神経病研究部, 講師 (30166954)
河合 潤 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60191996)
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Keywords | インプラント / イオン溶出 / ハイドロキシアパタイト / 放射光 / マイクロビーム / 超微量元素分析 / 人工股関節 / 細胞元素マッピング |
Research Abstract |
人体に埋入されたインプラント材料の摩耗、体肉腐食現象について考察するため、マイクロビームシンクロトロン放射光による蛍光X線分析法を用いて、生体組織中に放出された微量金属元素を分析した。試料として、人工股関節、人工指関節(Ti-6A1-4V合金製、ハイドロキシアパタイトコーティング)を埋入された患者のインプラント周辺組織を用いた。ハイドロキシアパタイトの欠落によってインプラントと組織が直接接触していた領域について、蛍光X線分析によるマッピングとスペクトル測定を行った結果、インプラントからチタン、バナジウムが放出されていることを確認した。この領域ではカルシウムの蛍光X線収量は低く、インプラントとの骨結合が不十分であることが分かった。放出された金属元素により骨組織の成長が阻害されている可能性がある。組織が変色した領域で、鉄の濃度が増加していた。放出された金属元素の試料内における濃度を知るために、チタンの蛍光X線収量が低い領域で測定・定量化を行った。その結果この領域では、Ti-6A1-4V合金における質量分率と比較して、チタンに対するバナジウムの濃度比が高いことが分かった。細胞レベルでの微小領域におけるマッピングでは、チタンの細胞(マクロファジー)内でと考えられう、直径10-20μm 程度の範囲内に局所的に存在する状態を複数箇所観察することができた。本研究でまた定量化プログラムの開発を行い、試料は充分に薄いとして共存元素によるX線吸収の影響は考えなかった。また、ある元素の蛍光X線が他の元素を励起する蛍光励起と呼ばれる現象も、実際には起きていると考えられる。その影響による誤差はわずかであると考えられるが、これらの点を考慮した補正を行うことにより更に精度の良い定量が期待できる。
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