1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい炎症反応物質SAAの腎腫瘍のマーカーとしての利用の可能性の検討
Project/Area Number |
10877250
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
冨田 善彦 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (90237123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 俊貴 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (70236686)
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Keywords | 腎細胞癌 / SAA / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
腎細胞癌患者における血清中SAAの意義を明らかにするために、以下の点について検討した。 血清中のSAAの測定はELISA法により行った,また同時に同じ検体を用いて,一般的な血清中の炎症反応物質であるc-reactive proteinについても検討を行った。 1. 腎細胞癌患者の血清中のSAAの測定 腎細胞癌患者72名の手術前の血清を採取し、ELISA法によりSAAの値を測定した。腎細胞癌患者にSAAが多く、その平均値は正常人に比して統計学的に有為に高かった。 2. 他炎症反応物質の値との関係 血清中のCRPとSAAの値は統計学的に有為に相関していた。 3. SAAの値と病理組織学的および臨床的因子との関係 a. 病理組織学的因子との関係 腫瘍の組織型、大きさ、リンパ節転移、遠隔転移の有無とSAAの値は関係がなかった。 b. 臨床的因子との関係 SAAの高値例は正常値例と比して統計学的に有為に予後が悪かった。多変量解析の結果SAAは独立した予後因子となりうることが示唆された。 以上より,SAAは腎細胞癌の独立した予後因子として利用できる可能性が示唆された。今後の検討はSAAが実際に腎細胞癌の細胞により産生されているのかどうかについて免疫組織化学染色およびイムノブロッティング法により検討する予定である。
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