2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J01265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蔦谷 充伸 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゲージ群 / A_n空間 / 写像空間 / オペラード / ホモトピー論 |
Research Abstract |
ゲージ群の同型類をA_n同値で分類する研究を続けている。 ゲージ群とは、主束の(底空間に恒等写像を誘導する)自己同型のなす位相群のことである。 申請時に得ていた結果は、有限CW複体B上の連結コンパクトリー群Gを構造群とする主束のゲージ群は、A_n同値なものを除いて有限個しか存在しない、というものであった。ここでnは有限の正の整数である。 本年度はそれを論文にまとめ、雑誌へ投稿した。この際に具体例として、Bとして4次元球面、GとしてSU(2)つまり2次特殊ユニタリ群をとった場合のゲージ群のA_n型の分類について簡単な結果を追記した。Hopf空間としての同値類が既に調べられていることを除けば、A_n型の分類に関する仕事はこれが初めてのものであると思われる。 この分類に用いた不変量自体はすでに知られているものであった。本年度の次の成果として、この不変量の持つ情報を完全に引き出すことに成功した。つまり、この不変量から知りうることはすべて調べつくしてしまった。これにより、上記の分類がさらに精密なものへと前進した。また、これによって得られて情報からある程度の振る舞いが見えてきたおかげで、さらに精密な分類への足がかりができた。 一方で上記の不変量はA_n型が「異なる」ことを検出する不変量であって、A_n型が「一致する」ことを検出する不変量ではなかった。そこで、ある意味でそれを実現するための方法を用意した。これが3つ目の結果である。これはよく知られている「ホモトピー型の混合」の一般化とも言える状況を考えていて、現在扱っているゲージ群のA_n型以外の場合にも広く応用できるのではないかと考えている。 なお、上2件については論文が査読中であり、最後の結果については論文にまとめている最中である。 これらの結果を総合すると、どうも古典的な問題であるアティヤ・ジョーンズ予想(既に解決されている)と何か関係があるのではないかと思われる。そうでなくとも、ゲージ群の「ふるさと」と言えるゲージ理論との関係を調べるのは意義のある研究であると思われる。
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