2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管特異的コンディショナルターゲッティングによるRAMP2の病態生理学的意義の解明
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10J07696
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小山 晃英 信州大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アドレノメデュリン / RAMP2 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / 血管の恒常性 / リンパ管新生 / 遺伝子欠損マウス / 臓器保護 |
Research Abstract |
アドレノメデュリン(AM)は多くの組織に分布し、血管拡張作用や血圧調節作用以外にも、抗炎症作用、臓器保護作用、抗酸化作用など、多彩な生理活性を有するペプチドである。AMノックアウトマウス(AM-/-)は血管の構造に異常により、胎生致死となる。さらに闇の受容体活性調節タンパクであるRAMP2ノックアウトマウス(RAMP2-/-)はAM-/-同様、血管の発達不全、構造異常により胎生致死となり、RAMP2により、AMの血管新生作用が規定されていることが報告されている。 今までに、血管におけるRAMP2の病態生理学的意義を明らかとするために血管内皮細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(E-RAMP2-/-)を樹立した。E-RAMP2-/-は、全身性のRAMP2-/-と比較して、発生段階は進むものの周産期に全身性の著明な浮腫が認められ、ほとんどの個体において、周産期の死亡が確認された。一部残った個体では成体が得られ、血管の構造異常が認められた。長期飼育した成体のE-RAMP2-/-では、肺、腎臓、肝臓といった主要な臓器に血管炎様の細胞浸潤が自然発症した。その他の臓器として、肝臓では肝硬変様の形態変化が起こり、腎臓では、水腎症と多発性嚢胞腎の自然発症が確認された。そして、これらの臓器では、強力な酸化ストレスの亢進が認められた。E-RAMP2-/-は、得られる成体が少ないため、成体期の解析が困難となった。そこで、薬剤誘導型E-RAMP2-/-(DI-E-RAMP2-/-;Drug induced-E-RAMP2-/-)を樹立した。DI-E-RAMP2-/-では、成体で遺伝子欠損誘導後、急速に体重が増加した。これらは、血管内皮細胞のRAMP2が欠損することにより。血管透過性が亢進したためであることがわかった。また、DI-E-RAMP2-/-の長期予後を観察すると、E-RAMP2-/-と同様に血管炎様の細胞浸潤や臓器障害が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、血管内皮細胞特異的RAMP2ノックアウトマウスの解析と新規遺伝子改変マウス(薬剤誘導型血管内皮細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス)の樹立と解析が達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、薬剤誘導型血管内皮細胞特異的RAMP2ノックアウトマウスの表現形の解析を引き続き行う。また、リンパ管特異的RAMP2ノックアウトマウスの作製と解析についても同時に行う予定である。
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Research Products
(9 results)