2002 Fiscal Year Annual Research Report
縁辺海の環境変化に関わる化学物質のモニタリングの基礎研究
Project/Area Number |
11205206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乗木 新一郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (80109511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修一 海洋科学技術センター, 研究主幹 (00167131)
成田 尚史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50250501)
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Keywords | 縁辺海 / モニタリング / 日本海 / 炭酸物質 / 粒子態物質 |
Research Abstract |
(1)現場プロファイラーの開発 海水中の二酸化炭素、pHの鉛直分布を現場で連続測定する機器の開発とその完成を目的とした。完成したシステムは、バッテリー部、耐圧容器(制御、検出などの電装システム)、被圧容器部(ポンプ、バルブ、セルなど)、平衡器(ガス透過膜)から構成されている。ポンプによって内部液をガス透過膜検出器間に循環させて、海水と酸化炭素分圧が平衡になった内部液のpHを測定して、fCO2を求める。現場(北太平洋)で、従来法と比較実験を行い精度良い結果を得た。 (2)日本海における粒子成分の循環 セジメントトラップを用いて、日本海における2年間の粒子束の実測と化学成分の季節変動を調べた。東部日本海では、11月〜2月(冬季)と2月〜5月(春季)の年2回の粒子束極大が観測された。大和海盆における粒子束は、ほほ全ての期間で日本海盆に比べて大きかった。日本海盆では、生物起源ケイ酸塩が優先的であったのに対し、大和海盆1km層では、全粒子束の大小に関わらず、ほぼ全ての期間でアルミノケイ酸塩が沈降粒子の主成分であった。どちらの海域でも、オパール粒子束は春季に極大が見られた。この大きな粒子束は、表層で生産された生物起源オパールが急速に沈降したものである。大和海盆におけるアルミノケイ酸塩粒子束には季節変動がみられ、冬季と春季に大きかった。春季の極大は、ユーラシア大陸からの黄砂の降下時期と一致した。日本海盆では、大和海盆で観測されたような明確なアルミノケイ酸塩粒子束の季節変動は観測されなかったが、春季に大きな粒子中のLa/Yb比を持つ粒子が観測された。このことから、大和海盆では年間通じて大陸性の粒子が供給されている事がわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nakano: "Development of an in situ CO2 profiler using spectrophotometric technique"TECHNO-OCEAN 2002, Proceeding. T-L-1-1 (2002)
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[Publications] K.H.Shin: "Dynamics of sinking particles in the northen Japan Trench : Biogenic chemical components and fatty acids biomarkers"Deep-Sea Res.. 49. 5665-5683 (2002)
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[Publications] 乗木新一郎: "陸起源粒子の外洋域への輸送過程"海洋化学研究. 15(2). 72-88 (2002)