2001 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
11304017
|
|---|
| Research Institution | High energy Accelerator research Organization |
|---|
Principal Investigator |
田辺 徹美 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20013394)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 一郎 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原始核研究所, 教授 (30028237)
菅井 勲 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (80150291)
森 義治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (30124176)
野田 耕司 放射線医学総合研究所, 医用重粒子物理工学研究部, 主任研究官 (80228329)
|
|---|
| Keywords | ビーム貯蔵リング / 静電型リング / 超高真空 / 大気圧イオン源 / 質量分析 / 生体分子イオン / 原子衝突 |
|---|
| Research Abstract |
ビーム貯蔵リングを用いた原子分子の研究はより高度化し、研究対象も重いイオンへと移行しつつある。これらの研究において、貯蔵リングは電磁石で構成されていた。しかし、分子イオンは電荷が小さく質量が大きいため、質量の増大に伴って磁気剛性が増大し貯蔵が難しくなる。一方、これらの重イオンは磁場より電場で曲げる方が容易である。電場を使ったリングは軽量小型で、正に卓上に乗るリングとなる。平成11、12年度では卓上シンクロトロンを作り、軽い原子、分子イオンを長時間にわたって貯蔵する技術を確立した。今年度はさらに生体分子イオンの生成、質量分析およびリングによる貯蔵を行った。即ち、1)大気圧イオン源(Electrospray Ion Source)によって蛋白質などの生体分子イオンを発生させた。2)卓上シンクロトロンヘビームを入射するためには、強度の強いパルス状イオンビームが必要である。この目的のためにイオントラップを製作し、直流ビームにくらべて5万倍の強度をもつパルスビームを得ることができた。3)分子イオンの質量を分けるために質量分析器を製作し、約4千の分解能を得ることができた。4)このようにして得られた生体分子イオンを卓上シンクロトロンに入射、貯蔵し、その寿命を測定した。その結果ビーム強度が1/eに減衰する寿命は10〜20秒で、予想に反して極めて長い。これまでに貯蔵したイオンはつぎの通りである。arginine dimer(分子量^<電荷>〜330^+)、reserpine(610^+)、angiotensin(1300^+)、insulin, chain B(35OO^<3+>)、insulin, from bovine pancreas (5740^<5+>)、cytochrome C(12800^<13+>)、lysozyme(14300^<9+>)、albumin from bovine serum(66400^<38+>)。また、正イオンだけでなく負イオンも貯蔵可能で、実際、adenosine 5'-triphosphate(590^-)を貯蔵した。今後これらの生体分子イオンと電子・光子の衝突を研究することによって、生命の起源解明に向けて研究を展開させたい。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] T.Tanabe: "An Electrostatic Storage Ring for Atomic and Molecular Science"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A. (2002)
-
[Publications] T.Tanabe: "An Electrostatic Storage Ring for Studying Electron-Ion Collisions at KEK"Proceedings of the International Symposium on the Dissociative Recombination of Molecules with Electrons. (2002)
-
[Publications] T.Tanabe: "Storage of Bio-Molecular Ions in an Electrostatic Storage Ring"Proceedings of the 13th Symposium on Accelerator Science and Technology. 155-159 (2001)
-
[Publications] T.Tanabe: "An Electron Target/Cooler for Extremely Low-Energy Ion Beams at the Electrostatic Storage Ring"Proceedings of the Workshop on Ion Beam Cooling -toward the Crystalline Beam. (2002)
