2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11304026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 直之 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60011631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木股 文昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10089849)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165197)
熊谷 博之 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00260589)
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Keywords | 地殻内流動 / 群発地震活動 / 神津島・新島 / ダイク貫入 / GPS地殻変動観測 / 重力観測 / 球状圧力源 / 膨張の地殻変動 |
Research Abstract |
神津島周辺域では1990年以降、活発な地震活動と地殻変動が観測されていた。そこで、本研究では、神津島周辺域において、地下深部の変動を議論する目的でGPS観測、重力観測を重点的に実施すると同時に、同域における地震活動も検討していた。2000年6月26日三宅島直下で発生した群発地震活動は、その後、北西方向に移動し、三宅島と神津島間でM6クラスの地震が連発するほど大規模なものに進展した。GPSによる地殻変動や重力変動、そして地震発生メカニズムから、神津島、神津島・三宅島間における地殻深部の変動を議論した。そして、以下のことが解明された。 1)神津島島内と新島などの地殻変動観測から、神津島北西沖深さ3km前後に体積増加を伴うで圧力源が1990年以降継続して活動している。この圧力源により神津島では重力の減少も観測されている。重力減少は地殻の上下変動だけで説明できない。地下深部に地殻物質よりも軽い物質の流入が推定される。なお、神津島では地すベりなどによる地表変動も頻繁しており、これらの影響を十分に議論する必要が課題として残る。 2)神津島や新島、三宅島における地殻変動観測および、群発地震の発生分布、メカニズムから同域に1km3に達するような多量のマグマがダイクとして貫入した。なお、この貫入が三宅島からの流入か、地下深部からの上昇かの解明は海底での事件であり、困難だった。 3)他大学や機関の研究から、神津島と新島間に、地震波の顕著な反射面や低速度層が深さ4kmあたりに検出され、負の磁気異常も観測される。ゆえに、神津島北東沖の海域は群発地震活動を伴うような地殻内流動が進行していると考える。
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[Publications] Fumiaki Kimata,S.Kariya,M.Fujita,K.Matsumoto,T.Tabei,J.Segawa,A.Yamada: "Estimated pressure source on Kozu Island, South Central Japan, from GPS measurements (July 1996-August 1999)"Earth Planets Space. 52. 975-978 (2000)
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[Publications] 木股文昭,田部井隆雄: "GPS観測による神津・新島周辺の地殻変動とテクトニクス"月刊地球. 22-12. 837-846 (2000)
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[Publications] 木股文昭,山岡耕春,工藤健,高井香里,藤井直之: "2000年三宅島・神津島における地殻活動と推定されるダイク貫入・クリープモデル"日本地震学会2000年秋季大会講演予稿集. A07 (2000)
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[Publications] 大久保修平,古屋正人,孫文科,田中愛幸,渡辺秀文,及川純,前川徳光,大島弘光: "重力の時空間変動からよみとれる三宅島火山活動の推移(1)陥没孔形成期まで、(2)陥没孔形成後"日本地震学会2000年秋季大会講演予稿集. A17-A18 (2000)
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[Publications] 高井香里,廣瀬仁,木股文昭,平原和朗,恵口康秀,田部井隆雄,今給黎哲郎: "GPS観測による2000年神津島近海群発地震断層パラメータの推定"日本測地学会第94回講演会要旨. 91-92 (2000)
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[Publications] 小林茂樹,奥田隆,宮島力雄,藤井直之: "精密重力変化による神津島北島部の急激な膨張変動(1998年11月-2000年3月)"地球惑星科学関連学会2000年合同大会講演予稿集. VBP006 (2000)