2000 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸生態系における浅海堆積物の循環特性に関する研究
Project/Area Number |
11305036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中辻 啓二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10029324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 建紀 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30243075)
川崎 浩司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20304024)
西田 修三 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40172663)
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Keywords | 浅海堆積物 / 水質・底質予測モデル / 溶出機構 / 栄養塩 / 底泥 |
Research Abstract |
本研究では、陸域から流入する栄養塩の挙動を現地観測より解明するとともに、大阪湾における底質と水質の相互作用を明らかにし、栄養塩の溶出機構を考慮した水質・底質予測モデルの開発を目的としている。 (1)陸域起源の浅海堆積物の挙動特性: 武庫川河口域での現地観測結果より、SS、T-N、T-Pのフラックスは下流に向かうにつれて減少する傾向がみられた。このことから、河口部においては、栄養塩が沈降・堆積していると推測できる。一方、大和川河口域では、堆積物中の有機態窒素・炭素の安定同位体を測定することにより、大和川から流入する陸域起源有機物の大部分は河口から約10kmまでに沈降・堆積していることが判明した。 (2)大阪湾底泥調査: 大阪湾を対象に広域底泥調査を行い、底質と水質の相互作用について検討した。その結果、内部生産が高い湾奥部では底質中のCOD、T-P、T-Nの値が増大しており、海水水質と強く関連していることが明らかとなった。一方、脱窒速度は大阪湾全体で6.1〜21.7mgN/m^2/dayであり、底泥に沈降する有機態窒素の約50%が脱窒作用により除去されていることがわかった。また、底泥表層でのAl・Feイオンと結合しているリンは脱着されるとともに、その一部は海水中のCaイオンと結合し再び海底に沈降されることが判明した。 (3)底泥からの栄養塩溶出機構を考慮した水質・底質予測モデルの開発: 海水からの粒子態窒素・リンの沈降・堆積、底泥における有機物の分解、底泥からの栄養塩の溶出を考慮した水質・底質予測モデルを開発した。栄養塩の溶出速度、底質中における栄養塩などに関する実測値と比較することにより、開発した予測モデルの再現性と有効性を検証した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 丸谷尊彦,韓銅珍,中辻啓二: "大阪湾における水質の長期予測計算"海岸工学論文集. 第47巻. 1051-1055 (2000)
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[Publications] 韓銅珍,丸谷尊彦,中辻啓二: "閉鎖性内湾における水質・底質モデルの構築とその検証"海岸工学論文集. 第47巻. 1091-1095 (2000)
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[Publications] Kawasaki,K.,Yoon,J.S.and Nakatsuji,K.: "Internal Characteristics of Two-Layer Stratified Flow Systems under Wind Stress"Proceedings of the 6th International Conference on Estuary and Coastal Modeling. 304-315 (2000)
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[Publications] Ishizuka,M.,Nakatsuji,K.and Nishida,S.: "Modeling of Tide-Induced Circulation near a Strait"Proceedings of the 6th International Conference on Estuary and Coastal Modeling. 827-842 (2000)