2000 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア生ワクチンの基礎的研究:原虫弱毒関与分子と遺伝子の解析
Project/Area Number |
11307004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 守 群馬大学, 医学部, 教授 (60056033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 公平 群馬大学, 医学部, 教授 (70108992)
佐藤 久美子 群馬大学, 医学部, 教授 (80008268)
片倉 賢 群馬大学, 医学部, 助教授 (10130155)
狩野 繁之 国立国際医療センター研究所, 部長 (60233912)
宮本 薫 福井医科大学, 教授 (30125877)
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Keywords | マラリア / Plasmodium berghei / 弱毒化 / ワクチン / HGPRT |
Research Abstract |
本研究は、放射線を大量照射して恒久的に弱毒化させたネズミマラリア原虫(Pb)が、マウスにきわめて強い抗マラリア免疫能を誘導するという実験結果をもとに、原虫の弱毒化に関与する分子の同定とその解析を行うことを目的として計画された。弱毒原虫株においては、原虫の核酸合成に必須の酵素であるhypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase(PbHGPRT)のmRNAレベルが強く抑制されているという当初の成績をもとに、今年度は、PbHGPRTの蛋白質レベルでの解析を行った。まず、大腸菌で産生させたレコンビナントのPbHGPRT蛋白質をウサギに免疫して抗PbHGPRTポリクローナル抗体を作成した。得られた抗体は、1次元および2次元のウエスタンブロッティング法において、ネズミマラリア原虫の分子量約30kDaの蛋白質と特異的に反応した。しかし、弱毒株と強毒株に対する抗体の反応性には著しい差は認められなかった。そこで、弱毒株と強毒株のPbHGPRT遺伝子のmRNAを、再度ノーザンハイブリダイゼイション法により比較したが、当初確認されたような弱毒株における発現低下は検出されなかった。一方、PbHGPRT遺伝子は単一遺伝子であり、コーディング領域と2つのイントロンを含む1.2kbならびに5′上流側の0.7kbにわたる塩基配列は、弱毒株と強毒株とで完全に同一であった。また、スプライシングの相違によるアイソタイプ蛋白が存在する可能性も見出されなかった。今後は、PbHGPRT遺伝子発現の制御機構の更なる検討に加えて、原虫の弱毒化に関与するHGPRT遺伝子以外の遺伝子の検索を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Perlmann, P.: "Contrasting functions of IgG and IgE antimalarial antibodies in uncomplicated and severe Plasmodium falciparum malaria"American Journal of Tropical Medicine and Hygine. 62. 373-377 (2000)
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[Publications] Kawazu, S.: "Molecular cloning and characterization of a peroxiredoxin from the human malaria parasite Plasmodium falciparum"Molecular and Biochemical Parasitology. 109. 165-169 (2000)
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[Publications] Sato,K.: "Application of yeast enolase as antigen for immunodiagnosis of malaria"Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health. (in press).
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[Publications] 狩野繁之: "マラリアの病態と対策"日本醫事新報. 3991. 33-36 (2000)