2001 Fiscal Year Annual Research Report
紙資料の保存―劣化状態調査法の定式化と大量脱酸処理法の開発―
Project/Area Number |
11308005
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
森田 恒之 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 教授 (10133612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 隆之 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70134799)
園田 直子 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助教授 (50236155)
吉田 集而 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 教授 (90099953)
大谷 肇 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50176921)
関 正純 高知県立紙産業技術センター, 総括主任研究員
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Keywords | 劣化紙の強化 / 劣化紙の脱酸性化 / セルロース誘導体 / カルボキシメチルセルロース(CMC) |
Research Abstract |
前年度末に、これまでの成果をもとづき、研究の方向を単なる劣化紙の脱酸性化(中性化)から強度補強をともなう方法に主力を移した。メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、微小繊維状セルロース(MFC)の3種のセルロース誘導体を単体もしくMC+(X)のかたちで組み合わせて水性溶液を作った。一部はさらに重量比1%の炭酸マグネシウムを添加した。これらの溶液を吹き付け法あるいはグラビアロールを用いた塗工法をもちいて、更紙製の試験紙表面に付着させ、さらに十分に乾燥させた上うえで、白色度,水素イオン濃度、引っ張り強さ、耐折度、外観の変化などについて様々な試験を行った。CMCが最も良好な補強硬化を示した。またセルロース誘導体は粘度が高いものほど効果があり、また吹きつけ法よりは塗工法の方が有効であることが分かった。さらに塗工量を増すほどに補強効果が上がること、塗工液に添加した微量の炭酸マグネシウムが劣化の抑制によく機能するすることも明らかになった。塗工液の調整法や最適塗工量の決め方にはまだ検討の余地がある。 現在、利用されている代表的な脱酸性化法による処置後の経時変化を観察し評価するために必要なサンプルを作成した。この結果が得られるまでには相当な時間が必要なので研究の任意継続によることにする。 英国議会資料のうち19世紀末に刊行された分の一部の用紙に含まれる青色微粒子が劣化抑制に作用しているらしく、赤外顕微鏡の導入を機会にその組成と抑止メカニズムの検討を試みたが、2002年2月末の時点ではまだ解明に達していない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 園田直子: "補修材料としての粘着テープ"文化財保存修復学会第23回大会講演要旨集. 文化財保存修復学会. 82-83 (2001)
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[Publications] 深井寛太, 岡山隆之, 園田直子, 森田恒之: "英国議会資料の劣化度と繊維組織"文化財保存修復学会第22回大会講演要旨集. 文化財保存修復学会. 36-37 (2001)
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[Publications] 岡山隆之, 深井寛太, 金森響子, 関正純, 園田直子, 森田恒之: "「英国議会資料の劣化とセルロース誘導体による強化処理」"第57回繊維学会年次大会 2002.5.22-24東京. (発表論文受理済み). (2002)
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[Publications] 園田直子: "「粘着テープの経年劣化:英国議会資料の補修材料の場合」"文化財保存修復学会第24回大会 2002.6.1-2日本大学(東京). (発表論文受理済み). (2002)