1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11358008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
川合 將義 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (10311127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 勝憲 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005940)
鬼柳 善明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002202)
古坂 道弘 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60156966)
竹中 信幸 神戸大学, 工学部, 助教授 (50171658)
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50112298)
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Keywords | 中性子 / 陽子 / ターゲット / 核破砕反応 / タングステン / タンタル / HIP法 / 照射実験 |
Research Abstract |
核破砕中性子源用のターゲットとして実績のある固体ターゲットを中心に研究を進めている。先ず、中性子工学計算に基づく検討を通じて、中性子収率の高いタングステンを最有力候補として選定した。タングステン単独では冷却水に腐食されてしまうため、靭性と耐食性の良いタンタル等で被覆するものとし、それによる中性子強度への影響も評価した。そして、伝熱流動および応力解析を通じて、除熱システムの検討を行い、MW級の陽子ビームに対するターゲットシステムの基本構成を検討した。その結果、1.2MW程度のビームに対しては平板状のターゲットが適用できること、さらに数MWのビームに対しては平板は困難であるが、ピン状のターゲットシステムで成立することを見い出した。 一方、より長寿命のタングステンターゲット作りのため、タングステンの素材の改質としてステンレス鋼を含む液相系焼結合金や炭化チタンを微量に分散強化したタングステン材料を試作した。できた材料の内部組織観察を通じて、製造法について検討した。さらに、タンタル被覆の技術を確立するために、等温加圧法(HIP法)を適用し、HIP加工の温度と圧力、高温保持時間等の条件について検討を行い、望ましいと考えられる条件を見出した。そして、この研究の実用化の一例として、改修を予定している当機構物質構造科学研究所の中性子科学研究施設の中性子源集合体用にタンタル被覆のタングステンターゲットブロックを試作した。今後、超音波探診による被覆接合面の観察、機械試験、腐食試験等を通じて、製造加工技術の適合性を評価する。また、他の材料、方法による被覆法についても検討を行っている。 ターゲットの寿命は、陽子ビームとその核反応で生じた中性子、水素、ヘリウム等による所謂放射線損傷に強く依存する。今回、スイスのポールシェラー研究所のSINQという核破砕中性子源で行われる照射実験に原研を通じて参加できることになり、製法を変えたタングステン材料、タンタル被覆のタングステン、第2の候補材である白金の照射試験試料を作り、上記研究所に送り、照射を開始した。国内でも原研のTIARAや東北大のダイナミトロン等の加速器を用いて照射試験を行うべく、照射条件の検討と、ビームタイム獲得のための申請準備を行っている。
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