2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本の民衆宗教における自然観・文明観・救済観の比較宗教学的研究
Project/Area Number |
11410008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒木 美智雄 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授 (60103032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ガードナー リチャード 上智大学, 比較文学部, 助教授 (80220804)
山中 弘 愛知学院大学, 文学部, 教授 (40201842)
棚次 正和 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授 (30241748)
木村 勝彦 筑波大学, 哲学・思想学系, 講師 (10195357)
鎌田 東二 武蔵丘短期大学, 健康生活科, 助教授 (00233924)
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Keywords | 民衆宗教 / 自然観 / 文明観 / 救済観 / 「学問」や「知」のあり方 / 文化の解体 / 人間的生活の崩壞 / オリエンタチオ |
Research Abstract |
本研究では、近現代日本民衆宗教の自然観や文明観や救済観の際立った変化変革を報告することが出来たということだけでなく、そのような変化変革をもたらした近現代における日本社会文化宗教全体の変化変革という問題が指摘されねばならず、さらには、そのような問題を取り扱う学問や「知」のあり方が大きく変革を遂げることが要請されているということが指摘されねばならない。 従来の日本の学問において、宗教の問題は、しばしば、単に「心」の問題として語られ矮小化されて扱われて来た。しかし、宗教の問題は、一見世俗化された現代日本の社会においても、極めて根本的で重要な問題を投げかけており、日本の「学問」や「知」のあり方が大きくホーリスティックなあり方、現実の宗教現象に対応する「あり方」へと大きく展開されることを求めている。近代の諸学問のカテゴリーでは、政治や経済、社会や文化のカテゴリーは自然からも、宗教からも分離されて取り扱われて来た。しかし、宗教現象の事実があらわにするところでは、宗教以外の諸カテゴリーは、宗教と分かちがたく結びついており、そのようなカテゴリーが導く、政治学や経済学、文化学や社会学は宗教の問題をそれぞれの学問のパースペクティヴに還元してしまって事足れりとしている。われわれは、そのようなアプローチにたいして異議を唱え、宗教もしくは宗教学の視点を大切にしながら問題に取組んで来たが、それは、「知」の全体の新しいオリエンタチオを要求している。それは、現代の日本社会そのものがそのような「新しい知」と学問のあり方を必要としているということでもある。なぜなら、従来型の知のあり方に導かれる社会は、価値や倫理や宗教を含んで、人間や文化全体の解体、人間的生活全体の崩壊へとわれわれを導いているということをこの研究は明らかにして、大きな警告を発しているからである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 棚次正和: "教祖の存在構造"細谷昌志編『「根拠」への探求』晃洋書房. 232-254 (2000)
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[Publications] 棚次正和: "祈りと巡礼"長谷正當・細谷昌志編『宗教の根源性と現代』第1巻 晃洋書房. 97-116 (2001)
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[Publications] 棚次正和: "宗教現象学から見た宗教心理"島薗進・西平直編『宗教心理の探求』東京大学出版会. 219-238 (2001)
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[Publications] Gardner,Richard: "Lost in the Cosmos and the Need to Know"Monumenta Nipponica. 54,2. 217-246 (1999)
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[Publications] 笹尾典代: "ニューヨーク世界都市空間の宗教学的意味"恵泉女学園大学英米文化学科編『英米文化学のこころみ』彩流社. 150-166 (2000)
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[Publications] 宮本要太郎: "Life and Nature in Cosmogonic Myths of Archaic and Contemporary Japan"宗教学・比較思想学論集. 第3号. 49-58 (2000)