2001 Fiscal Year Annual Research Report
近代国民国家形成における国民的「記憶」の総合的研究
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11410011
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies(TUFS) |
Principal Investigator |
上村 忠男 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 教授 (70107829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 昭夫 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20203284)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
西谷 修 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 教授 (20189286)
工藤 光一 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80255950)
相馬 保夫 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90206673)
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Keywords | 記憶 / 歴史叙述 / 国民国家 / 戦争の記憶 / 植民地主義 / オーラルヒストリー / 沖縄 / 映像 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、日本、アジア、ヨーロッパの3部会体制でプロジェクトを深化させる一方、最終年度ゆえプロジェクト全体を総括し、成果報告書の作成に当たった。まず日本部会は、昨年度と同じく「沖縄の記憶/日本の歴史」というテーマを掲げ、6月に東京外国語大学でシンポジウム「沖縄一記憶と映像」を開催し、沖縄の記憶を照射するヴィデオ3本を上映、パネルディスカッションを実施して、その記録を雑誌『ユリイカ』(青土社、2001年8月号)に公表した。同部会のホノルルでのシンポジウムは開催条件が整わず実現できなかったが、それ代わってメンバーのうち上村と藤井が2002年1月石垣島および座間味島にて現地調査を行うとともに、那覇で沖縄文学研究者と研究会を開催した。さらに同年2月東京外国語大学でシンポジウムr沖縄一記憶と映像(II)」を開催、6月とは別のヴィデオ3本を上映し、パネルディスカッションを行った。ヨーロッパ部会は、昨年同様「国民国家と集合的記憶」をテーマに、本研究課題の出発点となったP・ノラ編『記憶の場』の翻訳チーム・メンバーを招き、日本近代史の研究者も交えて、シンポジウム「『記憶の場』をどう読むか」の開催を企画し、東京と京都で4回の準備会を経て、2002年3月東京外国語大学でこれを実施した。「戦争と植民地主義の記憶」をテーマとするアジア部会は、オランダから岡山大学に来日していた海外共同研究者のフリーダス・スタイラン氏を招いてワークショップ「インドネシアにおける植民地の記憶とオーラル・ヒストリー」を9月に東京外国語大学で開催した。さらに2002年1月には、ベトナム出身の作家バオ・ニン、ファン・ニャット・ナム両氏のほか、「韓国ベトナム戦争真実委員会」の具秀氏、元ジャーナリストのグェン・ミン・トウアン氏、歴史家の朱建宋氏、作家の小田真氏を招き、シンポジウム「戦争の悲しみ・戦場の記憶ー<ハリウッドではないベトナム戦争>」を開催した。以上と平行して成果報告書の作成を進め、2002年3月に3部会合同で研究課題の総括会議を開催した。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 上村忠男: "ギンズブルグにおける「表象と真実」問題のその後"カルロ・ギンズブルグ著(上村忠男)『歴史・レトリック・立証』(みすず書房). 197-212 (2001)
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[Publications] 上村忠男: "証言についてーアウシュヴィンの「回教徒」からの問いかけー"ジョルジュ・アガンベン著(上村忠男・廣石正和訳)『アウシュヴィッツの残りものーアルシーヴと証人ー』(月曜社). 233-253 (2001)
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[Publications] 上村忠男: "スピノザ・ヴィーゴ・現代政治思想"スピノザーナ(スピノザ協会年報). 3-21 (2002)
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[Publications] 西谷 修: "ヨーロッパ的<人間>と<人類>ーアンドロポスとフマニタスー"『20世紀の定義(4)越境と難民の世紀』(岩波書店). 35-48 (2001)
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[Publications] 中山和芳: "誰がアリキを継ぐべきかークック諸島における首長位継承をめぐる紛争ー"河合利光編『オセアニアの現在ー持続と変容の民族誌ー』(人文書院). 76-104 (2002)
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[Publications] 中林伸浩: "現代アフリカの伝承と歴史"上村忠男ほか編『歴史を問う(1)-神話と歴史の間でー』(岩波書店). (2002)
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[Publications] 金七紀男: "ドン・ルイス・ダ・クーニャのブラジル遷都計画ー啓豪主義者の「ポルトガル・ブラジル帝国構想ー"ラテンアメリカ・モノグラフ. 13号. 1-20 (2002)
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[Publications] 相馬保夫: "ドイツ労働史・労働運動史研究"大原社会問題研究所雑誌. 512号. 1-12 (2001)
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[Publications] 篠原 琢: "どこから何をながめ、誰に向かって何を語るのかーチェコ社会の現在と歴史叙述ー"東欧史研究. 23号. 100-107 (2001)
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[Publications] 小川英文: "フィリピン、ラロ貝塚の人びとと暮らし"東南アジア考古学最前線. 22-33 (2002)
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[Publications] 鈴木義一: "第一次世界大戦とロシア革命"馬場哲・小野塚知二編『西洋経済史学』(東京大学出版会). 307-329 (2001)
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[Publications] 上村忠男(編著): "歴史を問う(5)-歴史が書きかえられる時ー"岩波書店. 237 (2001)