2000 Fiscal Year Annual Research Report
古代弁論術(レトリック)の理論と実践に関する歴史的・体系的研究
Project/Area Number |
11410015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森谷 宇一 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70033181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 浩司 大阪大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50263182)
加藤 浩 大阪大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (00204488)
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Keywords | 弁論術 / レトリック / 自然感情 / 詩学 / 文芸学 / ギリシア文芸 / ラテン文芸 / 文献学 |
Research Abstract |
今年度は、研究課題遂行のために、研究代表者森谷、研究分担者加藤、渡辺の三名は、トルコ、ギリシア、イタリアの現地調査旅行を行なった。人間の言語活動に深く根差す弁論術(レトリック)の成立とその展開に関して、歴史的・体系的に研究するにあたり、従来のように専ら文献学的にのみ研究していくことの不十分さと、弁論術をよりひろく地理的・風土的に位置付けることの必要性が確認された。そこで、弁論術がとくに隆盛を極めた地域を中心にしながらも、古代において弁論術と特に密接な関係がある地域を選定して、踏査を試みた。この実地調査によって得られた最大の収穫は、弁論術が成立し展開した地域の地理的・風土的な具体像が明らかになったことであろう。と同時に、古典文芸の表現活動を根源的に支えている古代弁論術と、それを育んだ自然感情の不可分離的関係性があらためて確認された。往々にして古典研究にあっては、古代の自然感情を分離抽象して、近代の視点から再構築することが行われている。これは、研究の方向性が文献学的に制約されているからである。今回の実地調査では、あくまでも、古代弁論術を成立・発展させた要因を、地理的・風土的な環境が育んだ自然感情のうちに求めることで、従来の研究においては等閑に付されていた側面が具体的に明らかになった。その成果は、多数のスライドやデータベースとして残されている。第二の収穫としては、有力な大学や研究所を訪れ、日本では手に入れることのできない文献資料を収集したことである。これらによって、文献学的にもいっそう充実した研究成果が期待される。
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Research Products
(2 results)