1999 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム社会におけるムスリムと非ムスリムの政治対立と文化摩擦に関する比較研究
Project/Area Number |
11410097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 皓一郎 北海道大学, 文学部, 教授 (00002163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮武 公夫 北海道大学, 文学部, 助教授 (50291993)
八尾師 誠 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (20172926)
北川 誠一 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (50001813)
四宮 宏貴 北海道大学, 文学部, 助手 (00170887)
太田 敬子 北海道大学, 文学部, 助教授 (40221824)
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Keywords | イスラーム社会 / 宗教マイノリティ / 民族紛争 / イスラーム化 / 宗教紛争 / イスラーム分派 / 東方キリスト教会 / 異文化接触 |
Research Abstract |
本年度は、各研究分担者が自己の専門地域を中心に、ムスリムと非ムスリムの政治対立と文化摩擦の現状に関する調査と文献研究を行った。八尾師はイランにおける宗教的マイノリティに関する文献収集を進めると共に、1ヶ月に及ぶイラン出張によってアルメニアキリスト教徒・ユダヤ教徒・バハーイィー教徒・Ahl-eHaqq等の共同体やアッシリア協会(ネストリウス派キリスト教)の調査を行った。宮武はマレーシア社会におけるインド人と中国人に関して調査と文献収集を行い、彼らの現状にはマレー人(ムスリム)内部における社会階層の分化と政府によるイスラーム原理主義抑圧政策が大きく関わっているという結論を得た。北川はチェチェン共和国におけるロシア系キリスト教徒マイノリティ問題に取り組んだ。それに関する調査は継続中だが、チェチェン人がイングーシュ人(共にムスリム)を排斥する形でチェチェン共和国の独立が行われたことによって国民集団形成に失敗し、それを補う形でイスラームアイデンティティが強調され反ロシア傾向に拍車が掛かっていること等の新たな事実を発見した。太田はエジプトにおけるコプト教会とコプト教徒共同体に関する調査と文献研究を行った。コプト教会史の研究と併せてエジプト政府の現在のコプト教徒政策を分析すると共に、現在でも地方の農村共同体においてコプト教会や修道院が隠然たる影響力を有し、大きな社会的役割を果たしているという新たな事実を発見した。四宮はインド独立時に際してのムスリムとヒンドゥー教徒の対立に関する資料収集を行った。これらの個別研究を小山が研究代表者として総括し、また個人的にはトルコ政府とコンスタンティノープル総主教との現在の関係について文献研究を行った。各分担者の研究成果に関しては数度にわたる研究会を開催し、報告と意見の交換を行った。
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