2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11410120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 兆史 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (80162246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 栄治郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40180046)
西村 義樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20218209)
ロシター ポール 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40199592)
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Keywords | 文体論 / 英語帝国主義 / スタイリスティクス |
Research Abstract |
研究最終年度に当たる本年度は、過去3年間に収集したデータを整理し、研究成果をまとめるとともに、新しい英語・英文学研究のあり方を提言する形で発表べく作業を進めた。具体的には、斎藤、ロシター、西村、坪井が、英語小説研究、英詩研究、認知言語学研究をそれぞれの立場から収集したデータに基づいて英語・英文学研究の融合に関する知見を発表し、それを斎藤がまとめる形を取った。その過程で、文体論成立の力学に関する仮説(英語学と英文学研究の乖離に危機意識をもったR・ファウラーら言語学者が文学研究に歩み寄った)が検証された。このような研究結果を踏まえ、次の作業として必要になるのは、英語・英文学研究、そしてさらに英語教育の間に本来的に存在していた関連性を取り戻すことである。このような認識に基づき、年度後半には、とくに斎藤とロシターが中心になって、英語・英文学・英語文化を融合させた形での英語教育の方法論を検討し、それを具体的な形で提示する方策を検討した。その結果、専門を異にするほかの英語教師たちの協力を得て、上記の理念を実現させる授業形態を作り上げた。その結果は、本年6月に東京大学出版会から出る教科書「英語の教え法--言語・文学・文化の融合」として結実することになっている。さらに、今年度は、この研究結果を社会に還元すべく、まったくの試行錯誤でしかない現行のコミュニケーション中心主義の初等・中等教育に大いなる修正を迫る提言を行なっていく予定である。このような提言は、国際化と英語学習が混同されがちな今日、ますます重要性を帯びていくことは間違いなく、本研究の純学理的な分部と英語研究の社会的責任をつなぐものである。
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[Publications] ポール・ロシター: "詩との出会い-執筆,読解,創造"創発的言語態. シリーズ言語態2. 133-170 (2001)
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[Publications] 坪井栄治郎: "受影性と受身"認知言語学I:事象構造. 63-86 (2002)
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[Publications] 坪井栄治郎: "受影性と他動性"言語. 32-4. 50-55 (2003)
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[Publications] 西村義樹: "換喩と文法現象"認知言語学I:事象構造. 283-309 (2002)
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[Publications] 斎藤兆史: "Models of English in Japan"Studies in Modern English Language. No.1. 9-14 (2001)
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[Publications] ポール・ロシター: "教室の中での言語、文学、創造性"英語の教え方-言語・文学・分化の融合. 近刊(未定). (2003)
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[Publications] 斎藤兆史編集: "英語の教え方ー言語・文学・文化の融合"東京大学出版会(近刊)未定. (2003)