2000 Fiscal Year Annual Research Report
国際関係の日常性と非日常性-ポスト・モダンの国際関係論の構築に向けて-
Project/Area Number |
11420016
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
初瀬 龍平 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40047709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アレキサンダー ロニー 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (40221006)
月村 太郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70163780)
吉川 元 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50153143)
大矢根 聡 金沢大学, 法学部, 助教授 (40213889)
土佐 弘之 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70180148)
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Keywords | 国際関係論 / 安全保障 / 国際機構 / 民族紛争 / 開発経済 / 人権 / 構造調整 |
Research Abstract |
1.研究経過:国際関係論におけるこれまでの多くのアプローチや分析枠組みは、国家間における非日常的な事件や事象に主要な焦点を当ててきた。それ故に、グローバリゼーション時代の様々な現象に対して、しばしば有為な分析を行い得ていない。本研究は、非国家主体と日常性を分析枠組みに付加することで、国際関係論の新たな可能性を提示しようとしたものである。2年間の研究期間に、研究分担者間の意見の交流を常時行った上に、分担者及び外部から研究者を招き、計9回の研究会を行った。その成果は、「研究成果報告書」に纏められている。「研究成果報告書」には、国際関係の日常性・非日常生のダイナミズムに関する3論文(内政干渉、民族紛争、経済問題の政治問題化)、日常性の国際関係の具体例に関する3論文(インターネット、BHN、健康)、安全保障の日常性・非日常性に関する4論文(理論的議論としてポスト構造主義、内的安全保障、事例研究として沖縄、ドイツ)、そして総論の計11本の論文が収められている。 2.得られた知見:日常性概念を国際関係に導入する際には、教導的概念としての「日常性の国際関係」と触媒的概念としての「国際関係の日常性」とを峻別する必要がある。 (1)教導的概念としての「日常性の国際関係」に関する研究を通じて、これまで無視、軽視されてきた研究分野が開発され、更には国際関係の平和や安定性への道が豊かにされるであろう。その意味するところは、暴力的な非日常的事象の減少である。 (2)触媒的概念としての「国際関係の日常性」に関する研究に関しては、非日常性との関係を議論に取り込むことで、日常性の概念の効用を高めることができよう。それにより、日常性、非日常性といった静態的概念に加えて、日常化、非日常化という動態的概念が視野に入ってくる。これらの用語自体は非常に陳腐ではあるが、その使用方法を厳密化し、積極的に分析に取り入れることが、今後の国際関係の考察には必須なのである。
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Research Products
(28 results)
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[Publications] 初瀬龍平: "Globalization and Asian Implication"Kobe University Law Review. no.33. 1-25 (2000)
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[Publications] 初瀬龍平: "平和研究の課題と展望"平和研究. 第25号. 6-15 (2000)
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[Publications] 吉川元: "OSCEの安全保障共同体創造と予防外交"国際法外交雑誌. 第98巻第6号. 1-34 (2000)
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[Publications] 月村太郎: "ボスニアの内戦前と内戦後"日本比較政治学会年報. 第3号. (2001)
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[Publications] 猪又忠徳: "オゾン層保護のためのモントリオール議定書における国際協力の枠組"国際協力論集. 第8巻第1号. 1-29 (2000)
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[Publications] 猪又忠徳: "国連平和維持活動留保基金の設立と機能について"国際協力論集. 第8巻第2号. 107-131 (2000)
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[Publications] 猪又忠徳: "国際連合の経費に関する再考察"国際協力論集. 第8巻第3号. (2001)
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[Publications] ロニー・アレキサンダー: "太平洋島嶼国の漁業開発・女性と安全"国立民族学博物館研究報告. 別冊21号. 261-281 (2000)
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[Publications] ロニー・アレキサンダー: "Governing the Commons?"国際協力論集. 第8巻第2号. 89-106 (2000)
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[Publications] 高橋基樹: "アフリカ型オランダ病と構造調整"国民経済雑誌. 第182巻第5号. 31-55 (2000)
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[Publications] 高橋基樹: "アフリカ開発におけるセクター・プログラムの展開"国際農林業協力. vol.23,no.2. 2-10 (2000)
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[Publications] 都丸潤子: "戦後日本の対マラヤ復交とイギリス"国際政治. 第124号. 209-226 (2000)
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[Publications] 都丸潤子: "国際関係論におけるエスニシティ研究序論"国際協力論集. 第8巻第3号. (2001)
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[Publications] 栗栖薫子: "冷戦後世界における人間の安全保障"Human Security. no.4. 3-9 (2000)
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[Publications] 永田尚見: "国際的検疫制度の成立"国際協力論集. 第8巻第3号. (2001)
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[Publications] 土佐弘之: "セクシェアリティのグローパル化と国際人権レジーム"アジア経済. 第41巻第3号. 33-67 (2000)
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[Publications] 土佐弘之: "生殖をめぐる構造的権力の重層的関係と言説の変容"女性学評論. 第14号. 61-94 (2000)
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[Publications] 今林直樹: "沖縄独立論の系譜"キリスト教文化研究所年報. 第34号. (2001)
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[Publications] 市川ひろみ: "戦後ドイツの軍隊の変容"今治明徳短期大学紀要. (2001)
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[Publications] 松田哲: "自助努力支援と日本の政府開発援助"京都学園法学. 第30・31号. 432-462 (2000)
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[Publications] 初瀬龍平(共著): "国際関係論のパラダイム"有信堂. (2001)
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[Publications] 吉川元(共著): "予防外交"三嶺書房. 300 (2000)
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[Publications] 吉川元(共著): "マイノリティの国際政治学"有信堂. 250 (2000)
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[Publications] 月村太郎(共著): "ヨーロッパ政治ハンドブック"東京大学出版会. 291 (2000)
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[Publications] 都丸潤子: "The Postwar Rapprcohement of Malaya and Japan,1945-61"Macmillan Press. 317 (2000)
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[Publications] 土佐弘之: "グローバル/ジェンダー・ポリティクス"世界思想社. 319 (2000)
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[Publications] 大矢根聡(共著): "日本と国際法の100年(第7巻)"三省堂. (2001)
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[Publications] 吉川元(共著): "なぜ核はなくならないのか"法律文化社. 249 (2000)