Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平等 文博 大阪経済大学, 教養部, 専任講師 (80288745)
伊藤 武 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (40066816)
二宮 正司 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (40131172)
松岡 憲司 龍谷大学, 経済学部, 教授 (40141668)
藤川 清史 甲南大学, 経済学部, 教授 (90238543)
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Research Abstract |
本研究の課題設定は,「円の国際化の展望,環境技術の移転,東アジア諸国の産業構造変化の主要因,部品供給ネットワークと中小企業の育成,情報インフラの形成,それらを支える政策基盤としての地域開発問題,アジアに共通し,とりわけ中国では最大の課題となる雇用機会拡大の問題にスポットライトを当てる」ことである。 平成12年度の研究では,交付申請に掲げたように,中国東北地域と華南地域の現地調査を通じて,それらの課題の一部が達成された。環境技術の移転,産業構造の変化,中小企業の育成,地域開発について,成果が生み出された。とくに研究代表者山本恒人は中国の雇用問題に焦点を当てた著書の完成によって,中国の雇用問題の解明に一石を投じた。その後,中国における私的セクターの雇用問題や,都市で就業する農民工の問題に視野を広げ,いよいよアジアの途上国の労働経済分析に移行しようとしている。アジアでは多かれ少なかれ,都市と農村の二元的構造を抱えており,農村から都市への労働移動および都市におけるその受容の上での特質が,経済社会,社会文化の特徴を浮かび上がらすと考えられる。 環境問題や私的セクターの計量的分析などの研究成果に見られるように,藤川清史の計量分析の手法がアジアの途上国の経済分析にとっても有効性が高いことが次第に明らかにされており,最終年度に向けて藤川清史・二宮正司の共同による統計整備が進み,共同研究の共通基盤の完成が期待できる。 地域開発の側面では,伊藤武,二宮正司が中国東北地域,松岡憲司が内陸部重慶,家本修が華南地域をフィールドにして,中小企業ネットワークの形成の分析を継続しており,最終年度にはアジア他地域との比較分析に着手できる見通しである。 アジアの経済交流が活発化する中で依然として文化的摩擦の問題はますます重要性を帯びてくる。異文化交流の視点から本年度からチームに加わった平等文博は,思想史のジャンルで文化摩擦の問題にメスを入れようとしており,最終年度に一定の成果が期待できる。
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