1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 潔 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (50151791)
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Keywords | 内殻励起 / 共鳴オージェ過程 / 振電相互作用 / 角分布 / 解離 |
Research Abstract |
BCl_3分子とPF_3分子について以下のような研究を遂行し、直線偏光した励起光によって生成した内殻励起状態の非等方性が電子緩和や解離のダイナミクスに及ぼす影響を明らかにした。 (1) BCl_3分子のB 1s->2a_2"励起を行うと光電子放出の共鳴増幅(共鳴オージェ電子緩和過程)が起こるが、この共鳴増幅が起こるのはB2p成分をもつ荷電子軌道からの電子放出に限られていること、光電子放出は共鳴増幅により等方的になる傾向があることを見出した。また、共鳴オージェ電子緩和過程に続いてイオン性解離が起こるが、このイオン性解離においてB^+イオンが選択的にエネルギーをもらい、面外方向速度成分をもち、飛び出してくること見出した。このB^+の面外方向放出はB 1s^<-1>2a_2"内殻励起状態で面外振動が励起されるために起こることをスペクトル解析と理論計算から明らかにした(投稿準備中)。 (2) BCl_3分子のB 1s->4e'励起により共鳴増幅した光電子スペクトルの低エネルギー側に裾構造が現れることを見出し、その裾構造は内殻励起状態での分子面内での伸縮振動の様子を反映していることを振電相互作用モデルに基づく量子論的な計算から明らかにした(投稿中)。 (3) PF_3分子のP 2p内殻励起状態からのイオン性解離はA_1->A_1遷移とA_1->E遷移との重なり合いおよびスピン軌道相互作用による混合のためにほとんど等方的となること、一方、2pe^<-1>5e ^1A_1内殻励起状態は交換相互作用が大きいためにLS結合でよく記述され、A_1->A_1遷移特有の非等方的な解離を示すこと、荷電子軌道からの光電子放出の共鳴増幅は2pe->5e^1A_1内殻励起のときにのみ選択的に起こること等を見出した(投稿準備中)。
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