2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11440128
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 昭 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40004460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281968)
松澤 暢 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20190449)
海野 徳仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30004477)
趙 大鵬 愛媛大学, 理学部, 助教授 (70304665)
松本 聡 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40221593)
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Keywords | 活断層 / 地震波トモグラフィ / ブライトスポット / 内陸地震 / 地震波散乱体 / 地殻構造 / 地殻流体 / 温度分布 |
Research Abstract |
秋田県・岩手県・宮城県にかけての脊梁山地を中心とする地域における臨時地震観測を継続して行った.さらに,2000年10月6日に鳥取県西部地震(M7.3)が発生したことから,この地震の震源域をも研究対象領域に加えた.この地震に約4カ月先立つ6月14日に,本震の破壊開始点のほぼ直下の深さ30kmに,地殻流体の移動に伴って励起されると考えられる深部低周波微小地震が発生していたことが見出され,本研究で当初目指したブライトスポットと地震波散乱体の推定や多数の地震のメカニズム解に基づく応力場の推定などに,極めて有効なデータを提供することが期待されるならである. 脊梁山地の稠密観測網のデータを用いてP波及びS波走時トモグラフィを行った.その結果,低P波速度(Vp)・低S波速度(Vs)・高Vp/Vsの異常域が,最上部マントルの火山フロントに沿って広域に分布すること,この異常域は下部地殻では活火山直下にのみ局在すること,上部地殻では活火山直下で低Vp・低Vsであるが低Vp/Vsとなっていることが明らかになった.非火山地域も含めて脊梁山地の地殻中深部に多数見出されたブライトスポット(S波反射面)は,低Vp・低Vs・高Vp/Vsの異常域より浅部の低Vp/Vs域に分布すること,深部低周波微小地震は低Vp・低Vs・高Vp/Vsの異常域の上端に分布することがわかった.これらは,脊梁山地の東縁と西縁を境する活断層の活動と密接に関わると推定される地殻流体の分布とその移動経路を考える上で重要な拘束条件を与える. 一方,鳥取県西部地震の余震観測データの予備的解析結果によれば,本震の破壊開始点直下付近にブライトスポットが検出された.内陸地震発生と地殻流体の関わりとが,ここでも見え始めた.
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