2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島を挟む2つの定点での生物粒子生成による二酸化炭素の固定と深層への輸送機構
Project/Area Number |
11440165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
乗木 新一郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究所, 教授 (80109511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 尚史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50250501)
渡邉 修一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00167131)
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Keywords | 北西部太平洋 / 日本海 / セジメントトラップ / 沈降粒子 / マスフラックス / 有機炭素 / 無機炭素 / 親生物元素 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つは、生物活動による大気から海洋への二酸化炭素流入の機構とその量を決定することである。二酸化炭素は生物の成長に使われて体内に取り込まれて粒子の形になり、深海に向かって沈降して海底に堆積する。この沈降する粒子量を実測することは強力な研究手段である。 実績:(1)沈降粒子試料は北緯44度、東経155度の測点(St.KNOT)において、1999年10月25日から2000年6月11日までの250日間、約一ヶ月間隔で時間分画式セジメントトラップにて採取した。粒子をろ紙上に集めて重さを測定した。粒子量(マスフラックス)は調査開始から3月23日までは、平均63.24mg/m2/dayであったが、4月2日から4月22日までは平均157.2mg/m2/dayと非常に高い値を示した。その後、徐々に小さくなり、5月12日から調査終了まで、平均3.535 mg/m2/dayと低い値であった。4月のマスフラックスの増加は春のケイ藻プランクトンブルームの時期と一致している。すなわち、マスフラックスの変動は海洋表層の基礎生産と相関のある事が示唆された。 (2)日本海(北緯38度、東経135度)の地点でも同様に沈降粒子を集めた。現在、重量を測定中である。 (3)マスフラックスの情報だけでは詳細な機構を議論するには不十分である。そこで、捕らえられた粒子の化学組成(有機炭素、無機炭素、窒素、リン、ケイ素等)を調べる。特に、有機炭素/無機炭素比は海洋が二酸化炭素を吸収するか否かの指標となる。また、生物必須元素である窒素、リンおよびケイ素を測定することは、生物活動の大きさを見積もる上で不可欠のである。現在、得られた沈降粒子の化学成分の分析を行っている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Otosaka and S.Noriki: "REEs and Mn/Al ratio of settling particle : horizontal transport of particulate matter in the northem Japan Tmch"Marine Chemistry. 72. 329-342 (2000)
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[Publications] K.H.Shin, T. Hama, Y. Yoshie, S. Noriiki and S.Tsunogai: "Dynamics of fatty acids in newly biosynthesized phytoplankton cells and seston during a spring bloom off the west coast of Hokkaido Island, Japan"Marine Chemistry. 70. 243-256 (2000)
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[Publications] M..Itou, I. Matsumura and S.Noriki: "A large flux of particulate matter in the deep Japan Trench observed just after the 1994 Sanriku-Oki earthquake"Deep-Sea Research. 47. 1987-1998 (2000)