2001 Fiscal Year Annual Research Report
π電子間相互作用を利用したキラリティ認識蛍光・吸光試薬の開発
Project/Area Number |
11440214
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00117194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸角 達也 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50271713)
吉田 登 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00158461)
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30142194)
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Keywords | 分子認識 / 蛍光スペクトル / エキサイマー / クラウンエーテル |
Research Abstract |
本年度は、シクロデキストリンをキラリティ認識部位として選び、この糖ユニットの水酸基を介して、ナフタレンなどの蛍光官能基を導入した化合物を分子設計・合成し、種々のゲスト分子に対するキラリティ認識能を検討した。 まず、β-シクロデキストリン分子の1つの糖ユニットの6位の水酸基をトシルエステルとし、これにジエチレントリアミン又はエチレンジアミンを結合させた。これに、1-ナフタレンカルボン酸及び、2-ナフタレンカルボン酸をアミド結合を介して導入し、4つの試薬を合成した。 これらの試薬のナフタレン環は、シクロデキストリンの内部に自己抱接されている状態と、外に出ている状態が平衡として存在していて、この比が、温度と溶液のpHに依存していることが^1H NMRの測定により示された。又、この平衡のずれによりナフタレンからの蛍光発光強度が大きく変化し、検出試薬としての有用性が見いだされた。すなわち、低温ではナフタレン環のプロトンのケミカルシフトが高磁場にシフトし、強い蛍光を発していて、自己抱接が起こっていることを示し、高温になると蛍光が弱く、又、ナフタレン環プロトンも通常のケミカルシフト位置に戻っていて、ナフタレン環がシクロデキストリンの外に居ることがわかった。このことは、自己抱接が発熱的であることを示している。 この試薬に対して、アダマンタノールなどの種々のゲスト分子を加えた時の抱接挙動を検討した。その結果、抱接錯体の形成による蛍光強度減少が見られ、これによって熱力学パラメータを算出できた。又、この錯形成に際し、誘起円偏光二色性の変化がみられ、キラリティ認識が確認された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tatsuya Morozumi: "New Fluorescent "Off-On" Behavior of 9-Anthryl Aromatic Amides through Controlling the Twisted Intramolecular Charge Transfer Relaxation Process by Complexation with Metal Ions"J. Phys. Chem.. 105(15). 2923-2931 (2001)
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[Publications] Toshiyuki Ito: "Photoinduced Electron Transfer and its Magnetic Field Dependence in Supramolecular Complex of Zinc(II) Tetraphenylporphyrin-Viologen Chain-Linked Compound with 2,3,6-Tri-O-methyl-β-cyclodextrin"Chem. Phys. Lett.. 340(3,4). 308-316 (2001)
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[Publications] Toshiyuki Ito: "Magnetic Field Effects on the Lifetimes of Triplet Biradicals Photogenerated from Zinc(II) Tetraphenylporphyrin-Viologen Chain-Linked Compounds : Dependence on Spacer Chain Length and Environment"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74(4). 657-665 (2001)
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[Publications] Noboru Yoshida: "Supramolecular Motifs in Metal Complexes of Shiff Bases. Part6. Topology of Two Types of Self-assembly of N,O-Bidentate Shiff Base Ligands by Copper(II) Ions"J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2. 2001. 1674-1678 (2001)
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[Publications] Kazuaki Harata: "Crystal Structures of 6-Deoxy-6-monosubstituted β-Cyclodextrins. Substituent-regurated One-dimensional Arrays of Macrocycles"J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2. 2001. 1667-1673 (2001)
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[Publications] Tomomi Ujiie: "Rotaxne Type Complexation Behavior of Cyclodextrins with Zinc(II)tetraphenylporphyrin-Viorogen Linked Compounds"J. Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry. (印刷中). (2002)