2000 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー吸収型ダンパー付き建築骨組の骨組・ダンパー協働設計法
Project/Area Number |
11450206
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上谷 宏二 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 聖晃 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (00243121)
大崎 純 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40176855)
竹脇 出 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20155055)
荒木 慶一 京都大学, 工学研究科, 助手 (50324653)
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Keywords | 粘弾性ダンパー / 受動型制振 / 構造制御 / 曲げせん断型モデル / 応答制御設計 / 最適設計 / エネルギー吸収 |
Research Abstract |
本研究の目的は,エネルギー吸収型ダンパー付き高層建築物に対して,主体構造とダンパーがそれぞれの最大性能を発揮するような設計を見いだす実用的かつ合理的な構造設計法を構築することにある。本年度において以下の成果を得た。 1.粘弾性ダンパーを制振要素として層間に有する曲げせん断型構造物モデルについて,ダンパーの総量が与えられたときに,設計用応答スペクトルに対する層間変位分布が指定した分布を下回り,かつ,曲げせん断型構造物モデルの層剛性の総和が最小になるような,層剛性分布とダンパー減衰係数分布を同時に見いだす方法を展開した. 2.上記1の方法を用いて,曲げせん断型構造物モデルに対する粘弾性ダンパーの最適配置に関する以下の性質を明らかにした.(1)層間変形から全体曲げ変形成分を取り除いた層せん断変形が大きな層に粘弾性ダンパーが集中する傾向がある.これは主として一次固有振動を効率的に抑制するためにダンパーが配置されたことによる.(2)上層部(層せん断変形は下層部に比べて一般的に小さい)にも粘弾性ダンパーが,下層部に比べれば量的には少ないものの,配置される傾向がある.これは主として二次固有振動を効率的に抑制するためにダンパーが配置されたものであると思われる. 3.上記1の方法と,静的水平荷重および静的鉛直荷重を受ける骨組構造物モデルに対する最適設計手法を組みあわせて,粘弾性ダンパー付き建築骨組に対する,粘弾性ダンパー・部材断面同時最適化手法を展開した.本方法では,粘弾性ダンパー付き骨組構造物モデルに対する複素固有値解析は,曲げせん断型構造物モデルを骨組構造物モデルに適合させるためのパラメタを決定する過程のみに用いるため,通常の最適化アルゴリズムを粘弾性ダンパー付き骨組構造物モデルに直接的に適用する場合に比較すれば圧倒的に効率的であり,大規模建築骨組に対しても実用的な計算時間で,合理的な粘弾性ダンパー配置と部材断面分布を見いだすことができる.
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