宇宙デブリ除去を目的とした多点標的への同時レーザー集光技術の基礎研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11450380
• Research Institution: Institute for Laser Technology
• Principal Investigator: 内田 成明 (財)レーザー技術総合研究所, レーザービーム伝送研究チーム, 主任研究員 (20260177)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): KOTYAYEV Oleg (財)レーザー技術総合研究所, レーザービーム伝送研究チーム, 客員研究員 ; 山中 龍彦 大阪大学, レーザー核融合研究センター, センター長 (80107143)
• Keywords: 宇宙デブリ / 位相共役光 / ブリルアン増強4光波混合 / ダイナミックホログラム / 大口径望遠鏡 / 波面歪補償

Research Abstract

宇宙デブリ除去をレーザーを用いて行うために必要な高精度レーザー照射を可能とする位相共役光の発生技術の研究を行っている。デブリ除去にレーザーを用いる場合にはプローブ用レーザーをデブリに照射し、戻ってきた散乱光の位相共役光を発生させ、さらに増幅してデブリヘ照射する。このような多機能の位相共役光を実現するのに有効な手段としてブリルアン増強4光波混合(BEFWM)による位相共役光の発生がある。今年度はBEFWMを利用したダイナミックホログラム(DH)により遠方からの微小信号光を表面歪を持つ大型集光鏡で捉える場合に発生する波面歪を除去することができる。BEFWMによるDHの生成はブリルアン非線形性を示す媒質に、補償すべき波面歪を持つプローブ光と平面波(参照光)を適当な角度を持って対向させ媒質内にDHを記録する。その後、観測すべき情報をもった信号光をDHに入射させ、回折光として平面波を得る。
本年度はこのDHの回折特性を明らかにした。まず、最初の実験ではプローブ光、参照光、信号光を独立に変化させ、回折効率(波面補償後信号光/補償前信号光)の依存性を調べた。参照光と信号光に対する依存性は弱く、プローブ光に対しては強い依存性を示した。また、非線形媒質長を変化させDHの深さに対する回折効率の依存性を調べた。媒質長を10〜30センチで変化させたところ回折効率は25%から50%に向上した。また、30センチ以上の媒質長では回折効率の飽和が見られた。
最後に波面補償の品質を遠視野像の比較により評価した。それぞれのビームに対して回折限界内に含まれるエネルギーを比較した。81%のエネルギーを含む元のイメージに対して波面歪を与えて8%にまで劣化した波面品質がDHにより74%にまで補償されることが実験により確認された。

Research Products

• [Publications] 内田成明,Kotyayev.Oleg,澤田寛: "4光波混合位相共役光を用いたダイナミックホログラムによる歪画像の補正法"電気情報通信学会技術研究報告. (2000)
• [Publications] Uchida,Shigeaki,Kotyayev.Oleg.G,Yoshida,Hidetsugu,Sawada,Hiroshi: "Characterization of Brillouin-enhanced four-wave mixing for an application to space debris removal"Proceedings of SPIE. 68-75 (2000)
• [Publications] Uchida,Shigeaki,Kotyayev.Oleg.G,Yoshida,Hidetsugu,Sawada,Hiroshi: "Restoration of Point Object Image by Brillouin Enhanced Dynamic Holography"Annual report of Institute of Laser Engineering. (2001)