2001 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における森林をめぐる土地所有の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
11460062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
餅田 治之 筑波大学, 農林学系, 教授 (80282317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 祐可子 東北学院大学, 講師 (40326707)
増田 美砂 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70192747)
永木 正和 筑波大学, 農林学系, 教授 (90003144)
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Keywords | コミュニティフォレストリー / 森林村 / 森林所有 / 土地政策 / 森林政策 / 暫定耕作権 |
Research Abstract |
タイを対象とした研究では、次のことが明らかにされた。タイの森林局を事業主体とする森林村事業は、地元住民を密接に組み込んだ森林経営事業であり、農村開発事業である。森林開発事業の目的は、国有保全林内の荒廃林地での再造林、保育事業に必要な雇用労働力の安定的な確保、および耕作権や灌漑施設などの社会基盤の整備による農村社会の自立的発展の実現にある。そこでは、土地なし農民や保全林内に散居する人々に耕作権を分配して土地利用を固定化し、行政村を建設して住民の永住化を促進する。それ故、耕作権という特殊な土地制度が森林局によって策定され、森林村の住民によるその遵守が事業の遂行に必要とされた。 次にブラジル・サンパウロ州における造林協会を対象とした研究では、次の点が明らかにされた。ブラジル・サンパウロ州では木材を消費する事業体(紙パルプ産業・煉瓦および瓦生産工場・製材工場など)では、消費した木材に見合う分の造林が義務づけられている。造林すべき対象の森林を所有していない事業体では、造林の代償として造林費用を一種の税金のような形で造林協会に納め、それを利用して農民などが所有する森林への造林が行われている。ある意味では所有を越えた森林経営(資源造成)の形成と、社会的な森林造成の要請と木材消費者のニーズを結びつけた制度として、サンパウロ州で展開している造林協会の活動は興味深い。
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Research Products
(1 results)