2000 Fiscal Year Annual Research Report
森林のレクリエーション利用に伴う環境管理コストの受益者負担に関する研究
Project/Area Number |
11460065
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
熊谷 洋一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50012042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 良平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40272439)
下村 彰男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20187488)
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Keywords | 森林レクリエーション / 管理コスト / 受益者負担 / 支払い意志額 / 景観評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一に森林の環境保全コストの、利用者(受益者)による負担の可能性について検討すること、つまり、森林の総合利用に際して必要となる経費と、利用者が負担してもよいと考える対価とのバランスについて検討することであり、第二に森林の総合利用に関する事例の収集・分析を通して、○○森林等の民有林に適用できる内部経済化手法について検討・整理することである。本研究の成果は以下のようにまとめられる。 1)総合利用森林の実態の整理・把握 総合利用、特に保健・休養利用を実施している全国の民有林の中から、各地域で代表的な事例を対象に山岳地域、中山間地域、都市近郊地域の区分に配慮して選出し、158事例を対象にアンケート調査を行い、対象森林の面積、土地所有、利用者数、利用者層、利用者の居住地、利用交通手段、維持管理形態、管理主体、所有者と管理主体の関係、維持管理費の有無等に関しての実態を把握した。 2)総合利用森林の管理費用に関する調査 上の事例の中から選出した16事例を対象に、総合利用森林の管理費用に関するアンケート調査を行い、管理費用と敷地面積や利用者数との間に一定の関係性があることを見出した。また、管理費用の内訳として森林管理費、施設管理費、運営費、人件費、一般管理費等に関する、森林面積や利用者数あたりの費用の、オーダーやレンジを把握し、総合利用森林の標準的管理費の目安を求めた。 3)利用者の支払意志に関する調査 東京都檜原都民の森を事例対象とし、来訪者に対し聞き取りアンケート調査を実施し、利用者の属性と利用形態、森林や林業に対する意識、環境保全コストに対する負担・協力意志、支払意志額についての知見を得た。 4)総合考察 以上の調査結果をもとに、総合利用森林における環境保全コストの利用者(受益者)による負担の可能性と、民有林に適用できる負担費用の徴収方法について考察した。
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[Publications] 下村彰男,一場博幸,荒井歩,松雪将也: "森林レクリエーション利用における受益者負担に関する考察"日観研論. 14. 83-88 (1999)
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[Publications] 下村彰男: "地域森林景観試論"森林科学. 27. 20-25 (1999)
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[Publications] 深町加津枝,奥敬一,下村彰男,熊谷洋一,横張真: "京都府上世屋・五十河地区における里山ブナ林の管理手法と生態的特性"ランドスケープ研究. 62(5). 687-692 (1999)
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[Publications] 下村彰男: "奈良県吉野にみる地域森林景観"日本林学会大会学術講演集. 111. 73 (2000)
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[Publications] 下村彰男: "地球を救う50の提案 農学・21世紀への挑戦"世界文化社. 223 (2000)
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[Publications] 小野良平: "里山を考える101のヒント"東京書籍. 225 (2000)