2001 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域における循環型複合経済構造の構築に関する理論的実証的研究
Project/Area Number |
11460106
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
熊谷 宏 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20003139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 昂一 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80109553)
辻 雅男 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90284554)
白石 正彦 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30078159)
寺内 光宏 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (70265065)
北田 紀久雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (20120131)
|
Keywords | 中山間地域 / 新たな時代 / 農村地域経済構造 / 循環型複合経済 / 都市農村交流 / 公共経済学 / メゾ・エコノミックス / 農業農村政策 |
Research Abstract |
1本研究は、中山間地域と隣接小都市とを一つの中山間地域経済圏として捉え、これを中山間地域の経済活動単位域とすることで、地域内の資源群や産業群が結合し、循環的かつ重層的・複合的な地域経済構造を構築することができるという、新しい中山間地域経済論を提示しようとするものである。中山間地域の経済圏域を、従来の狭い地域概念から、小都市を含む広域で捉えることで、従来の地域的自立的発展や都市農村交流という領域も含めて、産業内や産業間の連関を視野に入れた、「循環型複合経済構造」という理解が可能になり、これを地域単位として、中山間地域活性化のための新たな農村地域モデルの構築が可能になる。 2こうした「新たな時代」における中山間地域の分析(解明と方策立案)のためには、いわば「メゾ・エコノミックス」による接近が重要になる。本研究はあわせて、「新たな時代」に向けた農業農村経済学の方法として、応用経済学としての「メゾ・エコノミックス」の構築をめざす。 3本研究は3年計画で実施している。第3年目(最終年度)に当たる本年度は、前年度までの理論的整理を踏まえ、中山間地域活性化に関する新たな理論体系の構築に努め、その実証研究をさらに深化させた。理論的成果としては、循環型複合経済構造の効率性の検討、農業・農村の多面的機能増進施策による地域振興の経済評価理論の構築、合意形成を核とした参加型地域営農システムの構築方法等があげられる。また、実証的成果としては、農業農村整備事業の経時的変化の分析、内発的地域発展と地域経営主体、広域循環型地域活性化システムの構築事例分析、消費ブームが地域農業に与える波及効果等があげられる。以上のような理論的実証手分析により、応用経済学としての「メゾ・エコノミックス」の構築について体系的な整理を行った。
|
-
[Publications] 寺内 光宏: "住民参加による地域資源循環型町づくりの実践過程と合意形成 -山形県長井市における「レインボープラン」を事例として-"農村研究. 93. 100-115 (2001)
-
[Publications] 柏 雅之: "イギリスの内発的地域再生政策とパートナーシップ型マネジメント主体 -ルーラルチャレンジ・イニシアチブの意義と限界とを中心に-"人間と社会. 12. 139-166 (2001)
-
[Publications] 柏 雅之: "中山間地域直接支払い政策の意義と限界 -イギリス条件不利地域政策との比較検討を通じて-"林業経済研究. 47・1. 27-34 (2001)
-
[Publications] 熊谷 宏: "地域農政と政策構築・実行の課題"農林業問題研究. 36・4. 18-24 (2001)
-
[Publications] 北本桂造, 丸橋千尋, 熊谷 宏: "中山間地域における農業農村整備事業の性格の変遷と今後の方向に関する実証的研究 -兵庫県村岡町を事例として-"農村研究. 92. 43-52 (2001)
-
[Publications] 丸橋 千尋, 熊谷 宏: "農業構造改善事業の経時的変化の特性に関する計量的研究 -兵庫県を事例として-"日本農業経営学会論文集. 39・2. (2002)