1999 Fiscal Year Annual Research Report
果実への物質集積の動態に着目した栽培環境の最適化に関する基礎研究
Project/Area Number |
11460122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北野 雅治 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (30153109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 卓哉 九州大学, 大学院・生物資源環境科学研究科, 日本学術振興会特別研究員
江口 壽彦 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (40213540)
吉田 敏 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (90191585)
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Keywords | トマト / 果実生長 / 師部輸送 / 木部輸送 / 果実水収支 / 転流 / カルシウム吸収 / 栽培環境 |
Research Abstract |
本研究では、トマト品種「ハウス桃太郎」を用い、汁液、糖およびカルシウムの果実への集積に関わる師部輸送と木部輸送の動態を区別して評価して、果実への物質集積に対する環境作用の機作を解明することを目的としている。本年度は、人工照明グロースキャビネットでの実験によって下記の成果を得た。 1.インタクト果実の生長速度、小果柄内汁液フラックス、蒸散速度、呼吸速度およびソース葉の光合成速度と蒸散速度の経時変動のオンライン計測を、6個体の植物で同時にできるマルチチャンバシステムを開発した。 2. 果柄の一部を熱処理して師部を不活化することによって師部輸送を阻害し、小果柄の汁液フラックスを熱処理しない個体と比較することによって、小果柄を通って果実に流入する師管液フラックスと導管液フラックスの分別評価を初めて可能にした。その際、果柄の熱処理が、師部輸送をほぼ完全に阻害し、果実の蒸散に必要な水の木部輸送に影響していないことを実証し、本方法の妥当性を確認した。 3.根部溢泌液の連続採取により根によるカルシウムイオン吸収フラックスの評価法を確立し、根によるカルシウム吸収の律速のメカニズムを明らかにした。とくに、蒸散流および根の呼吸への依存性を、根の内皮の機能に関連させて解析した。また、導管液中のカルシウムイオン濃度を明らかにし、上記2で評価される果実への導管液フラックスとの積によって果実へのカルシウム集積速度の評価の可能性を示唆した。 4. 実際の生産現場の条件下で、トマト果実の生長、水収支、糖収支、カルシウム集積、師部輸送および木部輸送の動態を解析するために、ビニルハウスおよび栽培ベットを設置し、次年度から水ストレス、塩ストレス、日射、温度の影響を調査する予定である。また、スイカにおいても同様の調査を展開する予定である。
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[Publications] M.KITANO: "Dependance of calcium uptake on water absorption and respiration in roots of tomato plants.(Lycopersicon esculentum Mill.)"BIOTRONICS. 28. 121-130 (1999)
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[Publications] 北野雅治: "トマト果実周辺のフラックスについて"九州の農業気象 第II輯. 8. 61-64 (1999)
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[Publications] T.EGUCHI: "サツマイモ塊根の肥大に対する塊根周囲の湿度の影響"生物環境調節. 37. 197-201 (1999)
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[Publications] T.ARAKI: "Dynamics of fruit growth and photoassimilate translocation in tomato plant under controlled environment."Acta Horticulturae. (in press). (2000)
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[Publications] T.EGUCHI: "A new method for on-line measurement of dinurnal change in potato tuber growth under controlled environments."Journal of Experimental Botany. (in press). (2000)