1999 Fiscal Year Annual Research Report
発生と再生過程の膵臓における内・外分泌細胞の増殖・分化動態とその調節機構
Project/Area Number |
11470008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山科 正平 北里大学, 医学部, 教授 (90013987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門谷 裕一 北里大学, 医学部, 講師 (10185887)
玉木 英明 北里大学, 医学部, 講師 (30155246)
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Keywords | 膵臓 / 発生 / 再生 / 外分泌細胞 / α-細胞 / β-細胞 / 糖尿病 / 幹細胞 |
Research Abstract |
(1)再生膵において増殖する内・外分泌細胞の母細胞とその後の分化過程の解析 (1)外分泌細胞の再生:再生膵の細胞増殖動態をBrdU法による標識率で調査した。その結果、切除後2-3日目に小葉間導管上皮細胞の標識率が、次いで5日目に腺房細胞の標識率が上昇した。これより、導管上皮の分裂により腺房細胞の分化が、さらに新生腺房細胞の増殖により外分泌部が再生され、この全経過2週間までの短時間に完了することが判明した。 (2)内分泌細胞の再生:再生膵における免疫組織化学的研究により、切除後2-3日目に内分泌細胞の分化が導管上皮と腺房中心細胞からおき、次いでそれらの新生内分泌細胞の増殖により大型のランゲルハンス島が再生されることが判明した。この際、導管上皮からはグルカゴン細胞とインシュリン細胞が独立に分化し、腺房中心細胞からの再生ではまずグルカゴン細胞が生まれ、次いでこれがインシュリン細胞に変換することが明らかになった。 従来、再生膵における内分泌細胞の系統について見解が分かれていたが、再生の母細胞を特定して考えることで説明できる。 (3)再生ランゲルハンス島の運命:長期にわたる観察により、再構成されたランゲルハンス島が30日目頃から緩徐ながらも崩壊し、5ケ月頃より高血糖を示すようになり、1年目になるとほとんどのランゲルハンス島は消失していた。これはβ細胞の崩壊によるものであるが、この間アポトーシスによる死は観察されず、β細胞の変性に伴って大食細胞に貧食されるというのがそのメカニズムであった。この変性を防止できない限り、現今の膵島移植は完成しないことを示している。 (2)膵再生における十二指腸とCCKの作用 部域毎の標識率の定量により、外分泌細胞の増殖が十二指腸に密接する領域で他域に比して2倍も高いことが明らかになった。また、CCK-1の受容体拮抗物資であるSR27897を前投与すると、外分泌細胞の増殖が大幅に抑制された。この事実より、十二指腸より核酸するCCKが外分泌細胞の分化・増殖に誘導的作用するものと推定した。 この機構の活用により外分泌細胞の分化を調節できるものと期待される。
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