2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃由来の新しい消化管ホルモン、アペリンの生理学的、生化学的特性に関する研究
Project/Area Number |
11470127
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
立元 一彦 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60240694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 功 群馬大学, 医学部, 教授 (50008273)
高山 清茂 群馬大学, 医学部, 教授 (90134270)
清水 弘行 群馬大学, 医学部, 講師 (20251100)
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Keywords | アペリン / APJ / オーフォン受容体 / 生体防御機構 / 一酸化窒素 / 摂食調節 / 消化管ホルモン / 胃粘膜細胞 |
Research Abstract |
我々は、免疫組織学的研究によりアペリンが胃や腸粘膜組織に局在していることを明らかにしている。また、RIA法によりアペリンが肝臓、胃、腸などの組織に分布していることも見いだしている。また、アペリンmRNAが胃粘膜細胞やT細胞などに発現していること、アペリン受容体mRNAが小腸、大腸、白血球などに存在していることなどを観察している。そこで、我々はアペリンの消化器における生理作用を検討し、アペリンが単離された腸内分泌細胞からコレシストキニン(CCK)を低濃度で遊離することを見いだした。また、アペリンが腸由来のSTC-1細胞からもCCKを低濃度で遊離することを見いだした。アペリンは胃粘膜や脂肪組織から分泌され、CCKを遊離する作用を有することから、レプチン分泌などを介した食欲調節因子として消化器と脂肪組織からのシグナルを脳に伝達してエネルギー代謝のバランスに生理的な役割を担っている可能性を検討している。また、我々はアペリンをラット脳内に投与し摂食量が増加することを観察した。一方、循環呼吸中枢に密接な関連をもつ延髄腹外側領域におけるアペリンの作用をラットで測定したところ、アペリンの投与により血圧上昇および心拍数の増加が見いだされた。アペリン抗体による免疫染色では、延髄腹側表面に顕著なアペリン染色が観察された。これらの結果から、食欲中枢および循環中枢に対するアペリンの関与が示唆された。また、アペリンは肝臓のKupffer細胞にも局在し、サイトカイン産生を調節する作用を有するので、生体防御機構においても何らかの役割を演じていることが推測される。そこで、アペリンを通した消化器の生体防御機構への関与についても検討している。
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[Publications] Habata,Y.: "Apelin, the natural ligand of the orphan receptor APJ, is abundantly secreted in the colostrum."Biochem.Biophys.Acta. 1452. 25-35 (1999)
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[Publications] Kogure,K.: "Evaluation of serum uric acid changes in different forms of hepatic vascular inflow occlusion in human liver surgeries."Life Sci.. 64. 305-313 (1999)
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[Publications] 立元一彦: "オーファン受容体を利用した新規生理活性物質の検索"日本臨床. 58. 737-746 (2000)
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[Publications] Zou,M-X.: "Apelin peptides block the entry of human immunodeficiency virus (HIV)."FEBS Letters. 473. 15-18 (2000)
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[Publications] Tatemoto,K.: "Apelin : A novel regulatory peptide discovered as an endogenous ligand for orphan G protein-coupled receptor APJ."Regulatory Peptides. 94. 4-4 (2000)
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[Publications] Tatemoto,K.: "The novel peptide apelin lowers blood pressure via a nitric oxide dependent mechanism."Regulatory Peptides. (in press). (2001)