1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11470202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 浩 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (20304933)
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Keywords | WHOQOL / GHQ / 精神疾患 / 精神分裂病 / うつ病 / 健常者 |
Research Abstract |
本研究は精神障害者のQOLレベルを、我々が独自に開発した心理社会因子調査票と既存の評価票(WHOQOL-BREF、GHQ-12、ICD-10/SCL、HAM-D、KAS、WCSTなど)を組み合わせて包括的に評価することを目的とした.対象疾患は精神分裂病・うつ病とし、長崎大学医学部附属病院と長崎県内の研究協力施股で診療中の患者のうち調査協力の同意がとれた者を対象とした。これまでの対象者数は男性35名、女性30名、計65名(分裂病患者44名、うつ病患者21名)てあり、平均年齢は38.69歳、CHQ合計値及びQOL平均値はそれぞれ4.17、3.06であった.また正常コントロール群値を集計し、そのうち長崎県在住の健常者300名(男性138名、女性162名)のWHOQOL-BREF、GHQ-12値と比較した。健常者群の平均年齢は45.68歳、GHQ合計値及びQOL平均値はそれぞれ1.15、3.27である。精神障害者と健常者を比較して、以下の結果を得た.1.精神障害者は健常者と比べて、GHQ合計値は有意に高く、QOL平均値は有意に低かった。2.健常者のGHQ合計値とQOL平均値は負の相関を示した(相関係数-0.4455,p=0.000p<0.0001)。3.精神障害者においても健常者にみたと同じ相関をみた(相関係数-0.5427,p=0.000p<0.0001)。次に認知機能の指標としてWisconsin Card Sorting Test(WCST)を行った。精神障害者の平均カテゴリー達成数は2.68であり、Heatonらが報告した成人の平均カテゴリー達成数4.8より明らかに低かったが、カテゴリー達成数とGHQ合計値・QOL平均値の間には相関をみなかった.以上のことから、精神障害者のQOLが健康状態を示す尺度とは関係があるが、認知機能とは関係ないことが示唆されるが、未だ対象者数が少なく、また精神症状や心理社会的側面に関する検討を十分加えるに至らなかったため、さらに対象者数を増やし、より多くのデータを集積・検討していく計画である。
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