2000 Fiscal Year Annual Research Report
鼻性T/NK細胞リンパ腫における腫瘍分子生物学的,免疫遺伝子学的,EBウイルス学的解析
Project/Area Number |
11470353
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
原渕 保明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80208686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 吉史 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70225556)
古謝 静男 琉球大学, 医学部, 講師 (60161923)
青笹 克之 大阪大学, 医学部, 教授 (30115985)
高原 幹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50322904)
坂東 伸幸 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60312469)
|
Keywords | 鼻性NK / T細胞リンパ腫 / EBウイルス / 悪性リンパ腫 / 鼻腔 / LMP-1 / LMP-2A / P53癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
今年度は本疾患における1)EBウイルス遺伝子配列と2)p53癌抑制遺伝子について解析した. 本疾患7例のEBウイルス遺伝子LMP-1、-2AについてPCR法およびnested PCRにて得られた増幅産物を鋳型にして塩基配列をオートシークエンサーにて決定、塩基多型、変異の有無およびアミノ酸の変化を検討した。その結果,LMP-1遺伝子では7例全てにC末端中30塩基、10個のアミノ酸欠失を認めた。また,B95-8株とは異なる1塩基変異を生じた部位は43ヶ所で、それにより22ヶ所のアミノ酸変異がみられた。塩基多型を認めた部位は11ヶ所存在し、その内アミノ酸多型は10ヶ所であった。LMP-2Aについては7症例全てに細胞傷害性T細胞のエピトープをコードしているエキソン6中グアニンがシトシンとなる塩基置換があり、セリンがスレオニンとなるアミノ酸変異を認めた。 また,本疾患31例におけるp53蛋白の過剰発現を免疫組織学的に,p53遺伝子の点変異をPCR法にて得られた増幅産物を鋳型にしたdirect sequence法にて検討した。その結果,p53蛋白過剰発現は15例(48%)に,p53遺伝子変異は6例(19%)に認められた。臨床像との関連性を比較したところ,p53遺伝子変異群では有意に進行期例,浸潤破壊性病変例,全身症状を有する例が多く,予後が不良であった. 以上の成績から,本疾患に潜在するEBウイルスLMP1遺伝子が他と異なる可能性と,細胞傷害性T細胞の一部に変異がある可能性が示された.また,p53遺伝子変異が本腫瘍の悪性度に影響している可能性が示唆された.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 原渕保明: "鼻性NK/T細胞リンパ腫の病態と臨床"耳鼻臨床. 93. 341-352 (2000)
-
[Publications] 原渕保明: "鼻性NK/T細胞リンパ腫の臨床的・EBウイルス的解析"血液・腫瘍科. 40. 576-583 (2000)
-
[Publications] 原渕保明,坂東伸幸,荻野武,山口治浩: "鼻腔原発悪性リンパ腫の臨床像とEBウイルス"ウイルス感染症セミナー. 2. 25-31 (2000)
-
[Publications] 小林吉史,荻野武,林達哉,野中聡,原渕保明: "頭頸部非ホジキン悪性リンパ腫の予後因子の検討"日耳鼻. 103. 761-769 (2000)
-
[Publications] Kanno H,Kojya S,Li T,Ohsawa M,Nakatsuk:S.Miyaguchi M.Harabuchi Y,Aozasa K: "Low frequency of HLA-A^*0201 allele in patients with Epstein-Barr virus-positive nasal lymphomas with polymorphic reticulosis morphology."Int J Cancer. 87・2. 195-9 (2000)
-
[Publications] Hongyo T,Li T,Syaifudin M,Baskar R,Ikeda H,Kanakura Y,Aozasa K,Nomura T.: "Specific c-kit mutations in sinonasal natural killer/T-cell lymphoma in China and Japan"Cancer Res. 60・9. 2345-7 (2000)
-
[Publications] Li T,Hongyo T,Syaifudin M,Nomura T,Dong Z,Shingu N,Kojya S,Nakatsuka S,Aozasa K: "Mutations of the p53 gene in nasal NK/T-cell lymphoma"Lab Invest. 80・4. 493-9 (2000)