2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい細菌検査法による乳歯の病的歯根吸收過程の解明と治療法の確立
Project/Area Number |
11470445
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小口 春久 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30124689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 智一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50274668)
八若 保孝 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60230603)
加我 正行 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70125300)
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Keywords | ヒト乳歯 / 病的歯根吸収 / 微細形態観察 / 細菌感染 / PCR法 / 16S rDNA |
Research Abstract |
乳歯感染根管の病的吸収過程を電子顕微鏡で観察し、根管内滲出液をPCR法で分析して以下の知見を得た。 1)根尖性歯周炎を有するヒト抜去乳歯の歯根を電子顕微鏡で観察を行った。破歯細胞はほとんど観察されず、細菌が根管内および根管壁に分布していた。細菌の歯根象牙細管内への侵入は、根管上部で著明であったが、根尖領域ではほとんど認められなかった。病的吸収は歯根象牙質の広い範囲で生じており、いわゆる虫喰状態の吸収窩が多数観察された。その歯根象牙質表面には、部分的にセメント質が添加され、透過型電子顕微鏡観察から、電子密度の高い細い線維、顆粒状物質とわずかのコラーゲン線維から構成されていた。病的歯根吸収は、細菌および細菌の産生物による刺激も深く関与し、添加された修復性セメント質は本来の構造を有しておらず、吸収領域の局所性は修復機構に大きな影響を与えていたことが示唆された。 2)乳歯感染根管の原因を解明するため、感染根管に至った乳歯の根管内滲出液を滅菌ペーパーポイントで採取し、滅菌容器(1mlのPBS、ガラスビーズ封入)に入れ、凍結保存した。検体を解凍・撹拌し、これをテンプレートとしてPCR法で分析した結果、臨床16例中12例で16S r DNAが検出された。この結果から根管内滲出液を試料として、16S r DNAの検出が可能であると思われた。16S r DNAを検出するため、ユニバーサルプライマーとして、5'AGAGTTTGATCCTGGCTCAG3'と3'AAGGAGGTGATCCAGCCGCA5'を作成し、PCR法を行ったところ、全菌株でDNAが増幅された。 試料を採取する溶液とPCRの設定を検討して効率的な検出方法を決定した後、より多くの臨床例について本法を実施し、臨床症状との関連について調査し、乳歯感染根管の治療法を確立する予定である。
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