2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本における農作物の「転移」・拡散に関する実証的・生態地理学的研究
Project/Area Number |
11480015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90006586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉羽 正昭 筑波大学, 地球科学系, 講師 (50263918)
森本 建弘 筑波大学, 地球科学系, 講師 (20282303)
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70092525)
林 秀司 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (90294967)
矢ヶ崎 典隆 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30166475)
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Keywords | つまみ菜の伝播 / 契約栽培 / 近郊農業の転移 / 稲作品種の地域差 / 博多万能ネギの伝播 / 環境保全型農業 / 遺伝子組替種子 |
Research Abstract |
研究代表者の斎藤は、大学院生の協力を得て近郊農業の典型としてのつまみ菜の茨城県への伝播と契約栽培の実証的研究を行った。それによるとつまみ菜栽培は東京都葛飾区の都市化に追われ、1960年代に守谷町に、ついで1980年に阿見町に伝播した。これは東京卸売市場に戦前から出荷していた青果商、ヤマシンとの契約栽培によるものである。したがって、つまみ菜栽培は歴史的には系統的伝播であったが、マクロにみると近郊農業の「転移」現象と把握できることが判明した。しかも、つまみ菜栽培の規模拡大は、借地を通じて荒地を防ぐなど環境保全型農業であることも判明した。 研究分担者の田林は、暖地稲作の事例として鹿児島県において早期栽培と普通栽培の地域分化の様相を調査し、寒地稲作の事例として岩手県胆沢扇状地と北海道富良野盆地において調査した。水稲品種は近年めまぐるしく変化しているが、寒冷な地域の方が環境条件を反映して、明確な地域差を把握できるとした。また、森本は,茨城県においてカンショの新品種の導入と伝播について調査し、林は筑後川中流域における「博多万能ねぎ」の産地形成に関する現地調査を実施した。 一方、矢ヶ崎は研究代表者とともにアメリカにおける遺伝子組み替え種子の普及に関する資料を蒐集した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 斎藤功,佐々木緑,大森祐美: "茨城県南部におけるつまみ菜の伝播と契約栽培-近郊農業の転移現象-"人文地理学研究. 25号. 103-125 (2001)
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[Publications] 斎藤功,矢ヶ崎典隆,仁平尊明: "ハイプレーンズにおける企業的養豚業の新展開-シーボードファームズ社を中心として-"経済地理学年報. 46巻2号. 77-97 (2000)
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[Publications] 仁平尊明,二村太郎,斎藤功: "カンザス州南西部カーニー郡における環境保全政策CRPの展開"季刊地理学. 52巻4号. 251-271 (2000)
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[Publications] 田林明: "カナダ、南オンタリオにおける混合農業の変容"人文地理学研究. 25. 37-60 (2001)
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[Publications] Morimoto,Takehiro: "Abandonment of Cultivation in the Kanto Region in Japan : the 1970s-1990s."Science Reports of the Instiute of Geoscience, University of Tsukuba, Section A.. vol.22. 7-22 (2001)
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[Publications] 矢ヶ崎典隆: "アメリカ合衆国アーカンザス川流域の甜菜等産業"歴史地理学. 42巻4号. 1-22 (2000)
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[Publications] 呉羽正昭 ほか: "『東欧革命後のヨーロッパ』"二宮書店. 258 (2000)