1999 Fiscal Year Annual Research Report
ゼラチンを用いた皮膚にやさしい繊維の開発と被服素材への応用
Project/Area Number |
11480021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松生 勝 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (80091841)
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Keywords | 膚に優しい繊維 / ゼラチン / ポリビニルアルコール / ブレンド / ゲル化 / 不溶化 / ミクロ相分離 / 結晶回折ピーク |
Research Abstract |
膚に優しい繊維としてセルロース及びその誘導体とゼラチンとのブレンド、さらにはポリビニルアルコール(PVA)とゼラチンのブレンドの研究を溶液ブレンドの立場から種々の溶媒を用いて研究し、そのフイルム及び繊維の作成を高分子溶液の相分離の観点から検討した。ゼラチンをもちいるのは、ゼラチンが皮膚を構成するコラーゲンの分子鎖がランダムに切断されたものであり、値段も安価で被服素材の原料として適切であると考えたからである。作成されたフイルムやゲル紡糸繊維はゼラチンを水不溶性にするため、化学処理をおこなって、ゼラチン分子鎖相互間並びにゼラチン分子とセルロース分子(誘導体を含めて)の架橋を検討した。得られた結果は以下の通りである。1)ポリビニルアルコール(PVA)とゼラチンの溶媒を水とした場合、相溶性に乏しく相分離が生じる。この条件で繊維を作成すると、繊維の外側にゼラチンがPVAを取り囲む状態となる。この状態でゼラチンを不溶化すると、皮膚にやさしい繊維が作成しえた。2)ポリビニルアルコールとゼラチンをジメチルスルオキシドと水の混液に溶解すると、半相溶性のためミクロ相分離が生じる。この繊維は延伸性がある。しかし、ゲル化の進行過程あるいは延伸後に試料中でのゼラチン分子の不溶化を行うと、後者の場合は延伸が不可能になった。なお、ポリビニルアルコール(PVA)-ゼラチンをジメチルスルオキシド(DMSO)-水の混液に溶解すると、ミクロ相分離が生じ、この系の相分離機構の時間依存性をX線的に求まる結晶回折ピークの時間変化をPSPCで追跡すると、ゲル化にさいして微結晶の存在が確認された。また、螺旋構造を有するゼラチン分子鎖については、互いに集合して分子鎖間の長距離秩序を構成するが、光散乱測定の結果、ゼラチン分子鎖の集合は短距離秩序となると推定しえた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Bin. C.Xu, M.Matsuo: "Morphology and electrical conductivity of low-molecular weight polyethylene-ultrahigh molecularweight polyethylene-carbon black composite prepared by gelationb/crystallization from solutions"Colloid & Palym.Sci. 277. 452-461 (1999)
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[Publications] C.Xu, M.Matsuo: "Crystal Poisson's ratios of polyethylkene and poly(vinylalcohol) estimated by X-ray diffraction using the ultradrawn films"Macromoleular. 32. 3006-3016 (1999)
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[Publications] Y.Bin, M.Fukuda, M.Matsuo: "Morphology and mechanical properties of low-molecular-weight polyethylene and ultrahigh molecular weight polyethylene films drawn up to 200-fold"Macromolecular Chem.. 1-13 (2000)