2001 Fiscal Year Annual Research Report
東京美術学校西洋画科油画作品の技法材料・保存修復に関する総合的研究
Project/Area Number |
11480026
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Research Institution | Tokyo National University of Find Arts and Music Guraduate School of Fine Arts |
Principal Investigator |
歌田 眞介 東京芸術大学, 美術研究科, 教授 館長 (30272644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 政満 東京芸術大学, 美術研究科, 助教授 (50135183)
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30143639)
坂本 一道 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50107330)
神庭 信幸 東京国立博物館, 学芸部, 保存修復管理官(東京芸術大学非常勤講師) (50169801)
伊藤 由美 修復研究所21, 研究員(東京芸術大学非常勤講師)
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Keywords | 保存修復 / 油画技法材料 / 自然科学的調査 / 明治時代 / 外光派 / 新派(紫派) / 黒田清輝 / 東京美術学校西洋画科 |
Research Abstract |
本研究は、東京芸術大学大学美術館収蔵作品の中から、東京美術学校西洋画科教官を含む明治時代後期の油画を対象として作品の観察を行い、作品の経年変化、保存修復状態を観察するとともに黒田清輝をリーダーとするいわゆる「外光派」の油画技法や材料、東京美術学校教育の理念や実際の全貌を、絵画技法材料、絵画保存修復の立場から解明しようとするものである。 作品の観察は、実作品の概観館察に加えて、可視光線写真(ノーマル写真、側光線写真、顕微鏡拡大写真)、紫外線蛍光写真、赤外線写真X線写真による光学調査を行っている。 これまでの調査研究の結果、外光派以降現在までの油画作品の損傷は材料、技法の欠陥など、画家の技術的欠陥によるものが多いことが分かった。これは、黒田清輝ら外光派の画家たちがもたらした、技法や材料を考慮しない画風の流行と、黒田清輝が東京美術学校西洋画科において行った教育方法が少なからず影響を与えていると思われる。 そして今回3年間の新派の研究結果により、以前おこなわれた明治時代前期「旧派」の研究と合わせて、日本における明治期のヨーロッパの油画技術移入の流れが明らかとなった。その内容をまとめてこれまでの研究の集大成の発表の場として本学大学美術館において「油画を読む」展(2001.8.7〜9.24)を開催した。小規模な展覧会ながら約3万6千人の入場者があった。また、展覧会図録として「油画を読む」を出版した。 このような自然科学的方法を用いた調査結果発表として我国ではこれまでで最も大きな展覧会であった。
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Research Products
(1 results)