Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 義徳 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272013)
平野 信一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10228801)
松本 秀明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30173909)
千葉 則行 東北工業大学, 工学部, 助教授 (00104133)
宮城 豊彦 東北学院大学, 文学部, 教授 (00137580)
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Research Abstract |
(1)平時には水みち流の発端であり,豪雨時には表層崩壊発生の引きがねとなり得る,谷頭部でのパイプ流出を継続的に観測する簡便な装置を開発し,新第三紀層から成る丘陵地のいくつかの水路頭で観測を継続した結果,流出開始限界降雨量や,降雨ピークからの流出ピークの遅れ,および降雨終了後の流出逓減状況は,各水路頭の集水面積がほぼ等しい場合,土層厚(その谷頭部の土壌総容積すなわち貯留能)や,谷頭部の傾斜に大きく左右されることが実証された.また,先行降雨がない条件下で5-10mm/時以上の降雨が2-3時間程度以上継続するか,先行降雨指数が50程度を超えるときに数mm/時以上の強度をもつ降雨が継続して15〜20mm程度以上になると,実質的な集水域が段階的に拡大することにより,パイプ流出が急増することがわかった. (2)そのようなときには,水流発生地点が数m〜10mほど上流に移動し(小雨時に反応しないパイプからも流出がみられ),さらに水だけでなく土砂がパイプから排出される.この事実から延長して推測すると,1986年富谷丘陵での表層崩壊集中発生事例がほとんど谷頭凹地下の下部谷壁斜面で既存のパイプからの噴出をともなって起きているのに,1994年高館丘陵での表層崩壊集中発生事例では,谷頭凹地の背後の,通常は湧出のない谷頭急斜面から崩れたことが,総降雨量およびピーク降雨強度の違いから解釈できる. (3)斜面に垂直な細孔に充填した白砂をマーカーにしつつ,自作のストレインプローブを埋設してソイルクリープの連続観測を実施した結果,ソイルクリープは降雨や融雪による土壌水分の急増時に不連続的かつ層位により示差的に生じること,A層ではフロー的な動きを示すのに対してB層ではスライド的な動きが卓越し,土層基底(未風化基岩上面)の凹部上端で移動量・移動速度が大であること,などが判明した. (4)地表で観察される遷急線と,基岩上面の形状の急変部との対応が確かめられれば,上記(1)〜(3)を結びつけて,降雨増大にともなう崩壊の発生,および崩壊発生位置の移動を,遷急線で区分された微地形単位をベースに論じることができ,本研究の目標に迫ることが可能になるであろう.
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