2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11480262
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大場 謙吉 関西大学, 工学部, 教授 (30029186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 隆志 関西大学, 工学部, 助教授 (50239414)
板東 潔 関西大学, 工学部, 教授 (70156545)
浦上 忠 関西大学, 工学部, 教授 (80067701)
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Keywords | 模擬赤血球 / 高分子ゲル微粒子 / 弾塑性変形 / 膜面拡張係数 / ヘルツの接触理論 / 変形能 / ミクロンサイズ粒子 / 人工赤血球 |
Research Abstract |
ヒト赤血球を寸法的、力学的、レオロジー的に模擬できる直径約10μmのアルギン酸ゲル微粒子、すなわち「模擬赤血球」の変形能を測定する実験を行なうと共に、この模擬赤血球を人工血小板や超音波造影剤、さらには人工赤血球として利用するために必要なさらなる微粒化の実験を行なった。その結果、以下の事項が明らかになった。 1.平行平板の間に模擬赤血球を挟んで圧縮し、球形から円盤状へと変形させることにより、膜面拡張係数を求め、ヒト赤血球のそれと比較したところ、模擬赤血球の場合はヒト赤血球の場合の1/4〜1/6の大きさであり、表面積の拡張を伴う変形はヒト赤血球よりもはるかに容易であった。 2.粒径のさらなる微粒化と均一化を目的として、特殊仕様の空気霧化ノズルを用いたところ、大量の微小液滴ができたが、霧化用気流の存在のためゲル化がきわめて困難であり、成功に至っていない。一方、電気流体力学的霧化法による作製を試みたところ、直径1〜3μmのきわめて均一な粒径の液滴群を作製できたが、1μm程度の微小液滴のゲル化は困難であり、現段階では、平均直径7μm程度のごく少量のゲル微粒子が作製されているに過ぎない。 3.超音波造影剤として用いることを目的として、アルギン酸ゲル微粒子に微細な気泡を含有させ、超音波散乱特性を測定したところ、近年市販されるようになった「レボビスト」と比較すると、はるかに散乱特性が悪かった。この原因は、粒子の気泡含有が十分でないためと推測される。 以上より、我々の模擬赤血球は体外模擬実験用としては十分満足できる特性を備えていること、それ以上の機能を持たせるためには改良が必要であるが、そのための目途を付け得たことが分かった。
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[Publications] 尾上明史, 他: "模擬赤血球としての柔軟弾性ゲル微粒子の弾塑性特性"第24回日本バイオレオロジー学会年会抄録集. 41-41 (2001)
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[Publications] 藤井智彦, 他: "コーンジェットモードEHD噴霧に及ぼすワッシャー電極の影響"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集. No.01-1. 53-54 (2001)
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[Publications] 嘉崎英雄, 大場謙吉: "人工/模擬血球創製のための高分子溶液微粒化の実験"日本機械学会第12回バイオエンジニアリング学術講演会・秋季セミナー講演論文集. No.01-27. 51-52 (2001)
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[Publications] 尾上明史, 他: "模擬赤血球としての柔軟弾性ゲル微粒子の粘弾性特性"日本機械学会第12回バイオエンジニアリング学術講演会・秋季セミナー講演論文集. No.01-27. 45-46 (2001)
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[Publications] 大場謙吉, 他: "模擬赤血球としての柔軟弾性ゲル微粒子の変形能及び粘弾性特性"第4回日本栓子検出と治療研究会抄録集. 56-57 (2001)
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[Publications] 藤井智彦, 大場謙吉: "コーンジェットモードEHD噴霧法による均質微粒子の生成"日本機械学会第14回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. No.02-04. 271-272 (2002)