2000 Fiscal Year Annual Research Report
薄い長寿命炭素ストリッパー膜上への炭素build-up制御法の開発
Project/Area Number |
11554011
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Research Institution | HIGH ENERGY ACCELERATOR RESERCH ORGANIZATION |
Principal Investigator |
菅井 勲 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (80150291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 徹美 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20013394)
川上 宏金 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50013412)
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Keywords | 炭素フォイル / ストリッパーフォイル / 加速器 / 放射線損傷 / ターゲットフォイル |
Research Abstract |
炭素Build-up制御とその炭素ストリッパーフォイルの寿命測定をするための多窓付高真空チャンバー及び真空排気系一式を東工大(理)のバンデグラーフ実験室に運びビームラインに据付け調整を行った。炭素フォイルは全部で8組が装着できる駆動用トランスファのターゲットフォルダーに取り付け真空チャンバーに取り付けた。炭素フォイルのビーム入射方向に対して45°方向の上流側に出力1kW、下流側に2kWの赤外線加熱装置とその熱線を転送する石英ロッドを取り付けた。炭素フォイルの膜厚はフォイルからの散乱粒子をSi半導体検出器で測定した。 炭素フォイルの加熱温度は予め高感度セラミック付熱電対ワイヤーをフォイル表面限界まで近付けて、赤外線加熱パワーによる炭素フォイル表面温度を校正した。加熱温度は100℃から100℃毎に最高700℃まで行った。Build-up量とその寿命を測定するための炭素フォイルは我々のクラスターフォイルの他に、比較のために市販のアリゾナフォイルとドイツ・ミュンヘン工科大のレーザープラズマフォイルを用いた。炭素フォイルの膜厚は3.0±1.0μg/cm^2である。 実験開始から〜8ヶ月の間、Build-upの制御を示す再現性の高いデータは得られなかったが、赤外線加熱装置の最大パワーで加熱照射したところビーム照射量と共に平坦に推移していくデータが得られた。この原因は炭素フォイルと石英ロッドとの位置関係のアライメントがうまく調整されていなかったことによるものであった。これを機に実験は一気に進み、1)Build-upと温度、2)Build-upと寿命、それに3)寿命と温度の各パラメータの実験データが得られた。 その結果、炭素Build-upは〜200℃から抑制されはじめ450±50℃でBuild-upは完全に制御されることが高い再現性を持って確認できた。この実験から、驚くべきことに、クラスターフォイルはBuild-upの制御によって、制御なしのフォイルの寿命の2倍以上を示した。この値は市販のフォイルの30倍以上に相当する。他のテストしたフォイルについては炭素Build-upの制御は効くものの寿命の延びは観測されなかった。本題の開発研究の目的を成功裡に果たした。
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