Research Abstract |
きさげ作業は,高精度なすべり案内面を仕上げうることから,旋盤のベッドなどの加工には不可欠な手仕上げ加工法である.近年,わが国では技術の海外移転にともない熟練技術者不足が叫ばれており,その対策が緊急課題となっている.そこで,本研究では,自動きさげ盤の開発を目的として,特に今年度は以下の2つの課題に着手した. 1.自動きさげ作業の実施 CCDカメラ,大型の位置決めテーブル,加工工具からなる自動きさげ盤を構成し,熟練作業者が行う作業工程の自動化を試みた.まず,"赤当たり"の認識を行い,数10μmレベルの比較的粗い加工を実施する.次に"黒当たり"の認識を行い,数μm程度の高精度な加工を行う.これらはすべてコンピュータプログラムによって制御され,知的な自動化が実現されている.最終的に仕上がったきさげ面の加工精度は平面度で6μm,1インチ四方におけるあたりの数は9個程度で,JIS2級程度の水準であった. 2.きさげ仕上げ面の評価方法の開発 加工機によって仕上げられたきさげ面の評価方法について検討した.ここでは,(1)画像処理による当たり数の測定,(2)平面度の2点から総合的に評価することとした. (1)について,パソコン,CCDカメラ,イメージキャプチャーからなる画像処理系を構築した.取得された評価面の画像は証明ムラの除去,二値化,膨張,縮退,ラベリングなどの処理をほどこされ,単位インチあたりの凸部(当たり)の数がカウントされる. (2)について,定盤基準による平面度測定系を構築した,これは,高精度定盤,電気マイクロメータ,支持台からなり,プログラムによる平面補正を用いて高精度に平面度を測定することができる.
|